毎年夏季限定でオープンする大分市の「日吉原レジャープール」。2種類のウォータースライダーや流れるプールなどがある屋外型施設で、大勢の家族連れなどでにぎわいを見せています。プールは今年で30年を迎えますが、この施設で親しまれているのが、飲食ブースで販売されている「骨付きから揚げ」です。灼熱のプールサイド――あえてアツアツの揚げ物を求めて連日長い列を作っています。人気の理由を探りました。

プールサイドの飲食ブースに立つ山村八重美さん(59)。慣れた手つきで鳥の骨付き肉を次々とフライヤーに投入していきます。

ハサマ水産 山村八重美さん:
「肉にまぶす“魔法の粉”がおいしいんです。内容は明かせません。いつも500本位さばいています」

1963年 大分市・日吉原

61年前、1963年の日吉原は当時、海水浴場でした。臨海部の埋め立てに伴い、1974年にプールが完成。20年後の1994年にはレジャープールにリニューアルしました。

ハサマ水産は、近くで鮮魚や仕出しの店を構えていて、なり手がいなかったプールの飲食ブースを引き受けたことで営業が始まりました。店は家族で営んでいて、以来、名物となっているのが「骨付きから揚げ」(1本400円)です。

山村八重美さん:
「30年になるので子どものときに食べていて、大人になってから子どもを連れて来て、また食べに来たという方も多いです」

プールは夏休みということもあり、連日大にぎわい。子どもも大人も暑さを忘れるひとときを満喫します。

このプールでは、1時間ごとに10分の休憩時間を設定。この10分間が飲食ブースにとって最も忙しい超短期決戦となります。

購入した人:
「毎年プールに来ていて、いつも食べています。名物と聞いているのでつい買ってしまいます」「大分で超有名なのでここは何回も食べています」

この日午後1時にはプールサイドの気温は40度に達しました。それでもアツアツのから揚げを求めて、飲食ブースの前は多くの人で長い列ができます。

右手にから揚げ、左手にはフライドポテトを持つ小学生も。休憩時間にプールから上がってきた女の子は「泳いでいると疲れるので、あぶらも乗っていてちょうどいいです」と話し、から揚げをかぶりついていました。

また、家族連れで来ていた男性は「泳いだあとは、意外とお腹が減るんです。太るかもしれないと思いながらも、ついつい食べてしまいます」

そして、調理場はさらなる灼熱の場に。フライヤーの前に立つ山村さんの額からも大量の汗が吹き出します。暑さとの闘いは1日続きます。

記者――どれくらい水を飲みますか?

山村八重美さん:「2リットルと言わないくらい必ず飲みます」

プールがオープンしてから30年間、揚げ場に立ち続けている山村さん。自慢の味をこれからも家族で守り続けていきたいと意気込みます。

山村八重美さん:
「から揚げを持った瞬間ににっこり笑ってもらえるとよかったという感じですね。『暑い中、揚げて大変ですね』と声をかけてもらい、みなさんが買っていただけるのでがんばって揚げます」

この日は用意していたから揚げは完売し、午後5時半に営業終了。9時間に及ぶ奮闘に困ぱいしながらも、笑顔を忘れない山村さん。暑くて熱い夏は、これからも続きます。

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