「RKK深掘り(ふかぼり)調査班」、今回のテーマは「2024年問題」です。

4月1日からトラックやバスなどのドライバーの時間外労働が『年間960時間』に制限されました。

長時間労働の解消が目的ですが、人手不足になると言われています。

2030年には全国で約35パーセントの荷物が運べなくなるという試算もあります。

こうした状況で試行錯誤する現場を取材しました。

空調付きで抗菌仕様のトラック。半導体製造装置を輸送するための特別なものです。

このトラックを持つ輸送会社ヒサノは熊本県内で唯一、半導体製造装置の輸送、組み立てを行っています。

今、ヒサノでは半導体関連の輸送が全体の半数を占め、その需要はTSMCが進出した今、大きく拡大しています。

DXにかかった費用は5000万円以上

しかし・・・

ヒサノ 久保誠 社長
「TSMCも第2工場、第3工場まで作るって話もあるし、もう全然、人が足りない」

人手不足に拍車をかけるのが、「2024年問題」です。

今まで通りの輸送を続けるには、ドライバーの増員が必要ですが、業界が抱える問題があります。

トラック運転手の有効求人倍率は全職業の平均を上回り、時間外労働の規制による収入の低下などが状況を悪化させると懸念されています。

ヒサノでは外国人の採用に力を入れ人材確保をしようと手を尽くしていますが運転手が10人足りないと言います。

そんな中で始めたのが・・・

久保社長「受注から配車、請求に至るまで。あるいは、荷物の保管から配達、設置まで。すべてITシステムを使って管理している

「2024年問題」対応のカギが、“業務のDX化” です。

たとえばその一環として導入されたのが、目的地を入力すると、適切な運転時間や休憩時間が提案されるシステム。

出発地「熊本」、目的地「成田空港」とした場合、休憩のタイミングは3回で休憩に適した広めのサービスエリアも示されます。

また、以前は手書きだった「運転日報」も今は、位置情報を追跡する装置を活用することで自動入力されるようになりました。

このほか、受注や配車もデジタル化しています。

久保社長「ルートを作るのにたとえば1時間かかっていた。それが数分でできます」

DXにかかった費用は、5000万円以上。業務を効率化し、生産性を向上させる先行投資です。

久保社長「それが何千万かかろうとも長期的に見れば、効果はあるのではないかなと考えています」

全部オートメーション化 革命に近い

こうした取り組みは、野菜や果物を出荷する「JA」でも・・・

スイカの段ボールをパレットに積むのは、全自動のロボットアームです。

これまでは、ドライバーが段ボール一つ一つをトラックに積んでいました。

JA熊本市 北東営農センター 尾方健 販売係長
「この機械を導入することによって、(荷積みの)時間が30分から1時間、大幅に短縮できました」

運送会社 九州アイエヌライン 笹島竜一 事業総括本部長
「今までは(ドライバーが)箱を積んでいたのが、全部オートメーション化されて、劇的に変わっていると思います。革命に近いと思います」

トラックの待機時間を短くし、2024年問題に立ち向かいます。

2024年問題は生活の足『バス』にも影響

記者「2024年問題は、私たちの生活の足でもあるバスにも影響を及ぼしています」

4月に入り、県内のバス会社が相次いで減便しました。

九州産交バス 下鶴誠志 運行本部長
「大変苦労しながら、改正法をクリアするために配車しているような状況」

九州産交バスでは、運転手が30人不足していて4月からダイヤを5.6%減便に。

社員の待遇改善を進めています。

4月から、新入社員の奨学金を最大で240万円、代わりに返済する制度を導入。

九州では初めてです。

また免許取得の費用負担も拡大し、年間84日だった休みは104日に増やしました。

下鶴 運行本部長「地域の皆様の足ということでは、企業努力を行いながら継続していくのが責任です」

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