高知県が進める経済政策「関西戦略」の核とされる、関西初のアンテナショップ「SUPER LOCAL SHOP とさとさ」のオープンが、いよいよ来週に迫ってきました。特産品の搬入やレジの研修など、準備が佳境に入った様子を「からふる」のカメラがとらえました。福井健人記者の報告です。

■福井健人 記者
大阪市は、街の中心を多くの堀川が流れていることから、「水の都」とたとえられていますが、その堀川によって、全国の様々な品物が集まるようになり、「天下の台所」とも呼ばれるようになったことは有名ですよね。この高層ビルの間を流れる堀川も、そのひとつなんですが、名前を御存じでしょうか。「土佐堀川」と言います。

大阪市によりますと、江戸時代以前に、土佐の商人たちが生活するようになったことからそう名づけられた、土佐堀川。当時は、この堀川を頼りに、本山町の木材を船で運んでいたといいます。

■福井健人 記者
土佐堀川が流れているのは、大阪市の中心地・梅田から南へおよそ5キロ離れた西区という地域ですが、その一角には、山内家の6代藩主・豊隆が建てた「土佐稲荷神社」があります。藩政時代には、あたり一帯が土佐藩邸だったということで、神社はその敷地の中にありました。明治に入ると、岩崎弥太郎が、三菱グループの母体となる九十九商会の経営にあたった場所となりまして、大阪が長きにわたって、高知のヒトやモノを受け入れてきたという歴史を今に伝えています。

弥太郎が三菱発祥の地に選んだ、「商いのまち」大阪で、令和の時代に見合った新しい商い=高知の地産外商の核と位置付けられた拠点のオープンが、いよいよ迫ってきました。

JR大阪駅直結となる、日本郵政グループのJPタワー大阪。大阪市の中心地・梅田の、新しいランドマークとして期待されていて、7月31日にグランドオープンします。地上39階建てのビルは、オフィス、ホテル、劇場、商業施設の4つで構成されています。このうち、商業施設の「KITTE大阪」が目指しているのは「まだ知らない、まだ体験したことのない、日本各地の魅力的なヒト・モノ・コトを集め、日本の良さを発見・再認識できる場所」。全国の食や特産品を楽しめる7つのフロアが設けられます。

関西初のアンテナショップ「SUPER LOCAL SHOP とさとさ」は、この2階で、全国各地の店舗と軒を連ねることになります。46坪のフロアに、年間50万人の来店者を迎え、900の特産品を軸に、年間1億8000万円を売りあげることを目標に掲げました。

店長を務める小松珠実(こまつ・たまみ)さんは、これまで全国チェーンの小売店で販売業務にあたっていましたが、ふるさとの活性化に貢献したいという思いから、「とさとさ」の店長を志願し、採用されました。8人でお店を切り盛りすることになりましたが、ほとんどが、高知にゆかりがあるといいます。

(小松珠実 店長)
「私自身、すごくドキドキしています。スタッフも、もともと高知県出身とか、大阪出身でも、高知県に思いがある人もいるので、一緒に力を合わせてできたらと思う。大阪や関西圏のみなさんに、一回来たら、2回目、3回目行きたいと思ってもらえるような店づくりをしたい」

県による初のアンテナショップとなった東京「まるごと高知」がオープンしたのは、2010年のこと。「ヒト、モノ、コトの発信拠点」をコンセプトに、物販とレストランでの飲食を軸に、年間4億円ほどを売り上げるとともに、首都圏の百貨店や量販店に特産品を売り込む拠点として、機能しています。

一方、「とさとさ」は、東京のようなレストラン機能こそありませんが、コンセプトを、「極上の田舎、高知」と設定。県産材のスギやヒノキの丸太を商品の置き場に使ったり、土佐和紙で表現した、高知自慢の農産物の照明オブジェを飾ったりして、ぬくもりのある店舗を演出しました。

またデジタルサイネージのモニターには、「文化、自然、食」をコンセプトに制作した動画を映し出して「極上の田舎」ならではの魅力を伝えるほか、一定の集客が見込める大型連休や土日を軸に、催事スペースを活用して、様々な情報発信に取り組みます。

(県地産外商公社 奥田泰志 関西事業本部長)
「店頭でイベントを行えるスペースをかまえているので、そうしたところで、県内の事業者、生産者と関西の消費者の皆さんが触れ合って、新しい出会いが生まれたり、高知ファンが広がったりすることに期待をしている。物販の売り上げ目標の達成はもちろんだが、それに加えて、情報発信の拠点、アンテナとしての機能を十分発揮していきたい。観光、移住などの高知県の情報も関西の方にお届けできるような機能も担っていきたい」

■福井健人 記者
ところで、「とさとさ」のミッションは、単に、高知の特産品を関西で売り上げる、ということではありません。最重要ミッションは、県が進める経済政策「関西戦略」の核として機能することにあります。

県は県経済の活性化に向けて、関西圏との連携を進めようと、2021年3月に、初めて「関西戦略」を策定しました。これは、2025年の大阪・関西万博の開催で賑わいが期待される関西を舞台に、『観光の推進』『外商の拡大』『万博・IRとの連携』という3本柱の政策を進めるための戦略です。具体的な動きが一気に加速したのは、2023年のことでした。

大阪の百貨店で物産フェアを繰り返して開催。

関西で幅広い世代から支持されている県出身のタレント「円広志」さんを「高知家」の一員とした新しいプロモーションに取り組みました。

また、よさこいを軸にした観光列車を大阪モノレールで走らせるなど、切れ目なく、高知をPRしてきました。

万博の開催がおよそ8か月後に迫る中、「とさとさ」は、満を持して、オープンします。

(県大阪事務所 辻和生 所長)
「いよいよ開店のカウントダウンと実感している、本当に楽しみ。高知の露出を高めるという点において、このショップが開店するというのは、大きなターニングポイント、きっかけになる。物を売るということだけではなくて、観光や文化や暮らし、様々な高知の魅力を発信していく拠点にしていく」

■福井健人 記者
関西との経済連携を一層深めることで、成長した、新しい高知の姿が見えてくるのかどうか。関西戦略最大の焦点となるアンテナショップ「とさとさ」の動向が、その重要な鍵を握っています。

「SUPER LOCAL SHOPとさとさ」は、7月31日にオープンします。初日からの5日間は、毎日、来店者にカツオのたたきをふるまい、高知と店舗をPRするということです

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