7月24日は『土用の丑の日』です。うなぎを食べる人も多いのではないでしょうか。一般的に食卓に並ぶのは、国産の”二ホンウナギ”か、外国産の”ヨーロッパウナギ”と呼ばれるうなぎです。国内には、名前にウナギとついているけれど、うなぎとは程遠い仲間外れのウナギが生息しています。

古代魚としても知られる珍魚…富山県魚津市の魚津水族館の学芸員で、魚の生態に詳しい不破光大さんが教えてくれました。

魚津水族館学芸員 不破光大さん:「ヤツメウナギの仲間でカワヤツメっていうちょっと大型のやつがいるんですよ。全体で見るとウナギみたい。例えば、これなんかもう上から見ると本当にウナギ」

上から見た姿や顔はウナギと似ていますが…。この魚は皆さんが良く知っているうなぎとは、似て非なる程遠い魚だといいます。

川で産卵するけど生活は海…

不破さん:「軟骨魚類でウナギとは程遠い魚です。口が吸盤状になっていて、見ての通り顎がないんです。円口類とも言いますけど口が丸い。水槽などに入れると、こうやってアクリル面にくっついて、結構強い流れでも、しっかりくっつく。牙が生えていて、これで魚に食いついたりする。これは口のアップですね。気持ち悪いですよね…」

少しグロテスクな吸盤状の口とギザギザした歯が特徴的なこの魚、ヤツメウナギ科のカワヤツメと呼ばれる魚です。

全長は30cmから50cm。鰓(えら)の穴が眼のように見えて、本当の眼とあわせて8つ眼があるように見えることから、ヤツメウナギと呼ばれています。

あまり見かけない魚ですが、一体どこでどのように暮らしているのでしょうか…。

不破さん:「川で産卵するんですけど生活は海。川で生まれて川で4~5年過ごしてから、海に下って海で2~3年過ごす。その後、(川に)あがってきて卵を生んで死んじゃうんです」

魚を “ナメナメ” しながら食いついて生活…

赤ちゃんのときは川で生活し、成魚になると海に下り、再び川に戻ってきて卵を産んで死んでしまうというヤツメウナギ。

3億年以上前から姿を変えていない古代魚としても知られていて、特徴的な口は、海で生活するために欠かせないもののようです。

不破さん:「成魚のカワヤツメはこの口で、魚に食いつくんですよ。寄生生活というか…魚をナメナメしながら、食いついて生活している」

記者:「吸いつきながら魚を食べる?」

不破さん:「寄生なので、くっついてる魚を何て言うんすかね。死に至らしめるほどじゃないと思うんですよ。僕も実際にくっついて食べている現場を見たことがないから、わからないですけど、何か表面をかじり取るとかじゃないですかね…」

3億年以上前から変わらない “生きた化石”

カワヤツメの成魚は吸盤型の口で他の魚に吸いつき、ヤスリ上の歯で筋肉を削って食べたり、血液を吸ったりするそうです…。まるでヒルのようでなかなか気持ちが悪いですね…。

記者:「痛いんですか?かじられたら?」
不破さん:「あぁ…どうなんですかね…痛そうですよね…僕はかじられたことがないのでわからないです…」

普通の魚には胸ビレや腹ビレがあり姿勢を保っていますが、ヤツメウナギには背ビレと尾ビレしかありません。

口で石などに吸いついて、姿勢を保ち、流されないようにするためにも、吸盤状の口が活躍するそうです。

奇妙な口とヒルのように魚に食いつく習性に加えて3億年以上も前から姿を変えていない「生きた化石」ヤツメウナギ。かつては食用としても利用されていたそうですが、現在は数が極端に減少していて、富山県では絶滅危惧1類に指定されていてなかなか出会うことは難しいようです。

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