熊本地震で被災し、去年(2023年)7月に全線開通した南阿蘇鉄道が復活後初めての春を迎えます。鉄道の旅で楽しみたい沿線の飲食店を紹介!お店にも、復興を通して様々な変化があったようです。

老舗食堂の女将が作る 愛情たっぷり!ハヤシライス

リポーター「高森駅に着きました。以前来た時よりも更に綺麗になったという感じがします」

駅から徒歩1分の所にある、創業60年以上の『御食事処 忠(なり)』。地元の人や観光客に愛されてきた老舗食堂です。

熊本市からの観光客「全線開通して大分時間が経ったんですけど、乗りに来ようかなと思って」


鉄道ファンもふらっと立ち寄る店で出迎えてくれるのが、女将の秋山てる美さん。17年前から店を切り盛りしています。


リポーター「熊本地震のあとは、南阿蘇鉄道が途切れていた時があった訳じゃないですか」
御食事処 忠 秋山てる美さん「震災があってすぐはちょっと休みましたけど、その後は工事関係者の方とかがいらっしゃって。ありがたいですよ。食べてもらうのがありがたいんじゃなくて、工事に来てくれるのがありがたかった」

観光客は減りましたが、工事関係者に支えられたと秋山さんは言います。

お客さんに提供するのは、子供にも安心して食べさせられるような優しい料理。中でも人気なのが、和風だしを使った「阿蘇ハヤシライス」です。

リポーター「ん~!コクがしっかりあるので、味わいは深い。女将さんの愛情もたっぷり入っている」

去年(2023年)7月の全線再開以降は、減っていた観光客もそれまでの倍以上になったといいます。

秋山さん「ワクワクしますよ。だって人が集まるから。すると、やらなくちゃいけないんじゃなくて、やる気が出る」
ーーもう今はやる気に満ち溢れている?
秋山さん「普通にやってます(笑)」

料理からも女将からも、パワーをもらえますよ。

名物ちゃんぽんに観光客殺到!?

続いて向かったのは、「南阿蘇水の生まれる里白水高原(はくすいこうげん)駅」。

駅名の長さは “日本一”

去年の全線再開までは運休区間にあったため、地震以降の7年間は利用客ゼロの状態でした。

その間も、駅の目の前で営業を続けていた食事処が『きしゃぽっぽ』。阿蘇の田舎料理が味わえる店です。


ーー7年ほどは、目の前の駅は人が降りない状態だったってこと?
きしゃぽっぽ 渡邊重行さん「そうです。お客さんは半分くらいまで減った。私一人でやってたもんですから、何とか食いつなぎはできましたけれども」

しかし、その状況も全線再開後は一変。来店客は熊本地震前より増えたそうです。

渡邊さん「昼は観光客の方とか、写真撮りの方とかがですね。そういうサイクルが出て来ました」

ここを訪れるお客さんのお目当が「ちゃんぽん」。豚骨スープと鶏ガラスープをブレンドしたオリジナルスープは麺との相性が抜群と大評判!

リポーター「最高!具材の食感、野菜の食感がしっかりしてますね。シャキシャキ!あぁ~、これは確かに食べますね」

「ちゃんぽん」を看板メニューとして人々に愛されてきた店ですが、渡邊さんは自身の体のことを考え、閉店しようかと思っていたそうです。

閉店に「待った!」 弟子入り親子の新たなスタート

その矢先「この味と店を受け継ぎたい」と名乗り出たのが、熊本市出身の吉村さん親子です。今月から店に入り、味を学んでいます。

父・吉村浩二さん「去年だったかな。渡邊さんが『もう辞める』と言うから、『ちょっと待ってくれ』って。『私が店をする』と言った」


ーーお料理のお仕事とかは?
息子・未来さん「いえ、全く素人です」

店を継承するにあたり渡邊さんから出された条件が「店の名前を残すこと」と「名物のちゃんぽんの味をそのまま受け継ぐこと」でした。

未来さん「渡邊さんに見てもらいながら、ちゃんぽんの守るべき基礎の部分をしっかり教えてもらって、頑張って作っています」

南阿蘇鉄道の全線再開を見届け、この春から生まれ変わろうとする人気店。これからも愛された味はそのままで、観光客を出迎えます。

渡邊さん「店の売りは売りで守ってもらって、自分たちのオススメをどんどんやって、新しいお店にしていけばいいんですよね」

未来さん「今まで来ていただいた方や、またこれから新しく来てくださるお客さんたちが『今までと変わらないね』とか、『もっと良くなったね』とか言われるようなお店に頑張ってしていきたい」

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