国内唯一の耐久レースシリーズ、「スーパー耐久」。その第2戦が5月25日(土)、静岡県・富士スピードウェイで行われた。

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詰めかけたモータースポーツファンは観客席の至るところでテントを張り、キャンプを楽しむ。まるで音楽フェスのような空気が流れる中迎えたのは、日本で唯一の24時間耐久レース。

スタート前のグリッド上、多くの報道陣やファンが1台の車の前に群がっていた。

普段は日産陣営でレースを戦っているKONDO Racing Teamオーナー兼監督の近藤真彦さん(59)が、「モリゾウさん」ことトヨタ自動車・豊田章男会長(68)がオーナーを務めるルーキーレーシングのドライバーとしてレースに参戦するのだ。

去年の24時間レースで完走を果たし注目を集めた世界初の開発車両。CO2・二酸化炭素を排出しない液体水素燃料で走るカローラで24時間レースに挑む。

モリゾウ:
1秒でも多く1mでも多く走るということだから、その走行距離、走行時間によって“未来の景色”は変わると思います。そこにね、ココが入ってきたのは大きいですね。

と、近藤さんのレーシングスーツのNISSANエンブレムを指さし、笑う。

近藤真彦:
頑張ります(笑)。

土曜日の午後3時。日曜日の午後3時のチェッカーフラッグまで、“24時間の旅”がスタート。

最初にカローラのステアリングを握ったのはモリゾウさん。

そして40分後。

これが実に16年ぶりのドライバー復帰となる近藤さんにバトンが渡された。

スタートからしばらくすると、お祭りのようなこのレースの雰囲気は一変する。コース上でトラブルに見舞われるマシンたち。

各チームのメカニックたちが対応に追われる。

レース開始から1時間15分。近藤さんが乗るカローラにも異変が。

燃料供給系のトラブルで緊急ピットイン。ドライバー・近藤が車の状況をチームに伝える。

「車の重心が動くにつれてタンクの中で燃料が動くので、その時の吸い上げのタイミングがたぶん合っていなかった」

「これを解決できるか分からないけど、そのための実験場だから。この車は特にね」

15分後、すぐにレースに復帰するが…。

午後6時過ぎ、今度は複数のトラブルが発生。チームは長時間のレース離脱を余儀なくされた。

夜8時を過ぎると、サーキットでは24時間耐久レース名物の花火が上がる。

観客が「レースと花火」という非日常感を楽しむ中、ルーキーレーシングのピットではレース復帰へ、必死の作業が続いていた。

離脱してから実に5時間、午後11時過ぎ。ようやく液体水素カローラが再びコースへ。

過酷な状況で車の問題点を洗い出し、それをどう克服するか考え、実行する。

この後もトラブルが発生するが、その度にチームは総力戦で対応し、車をコースに戻した。

そして日曜日の午後3時。

日本唯一の24時間レース、ゴールの瞬間がやってきた。

そこに広がっていた光景は、まさに「走る実験室」だった。

モリゾウさんも近藤さんもピットウォールから身を乗り出し、笑顔で愛車を出迎えた。

近藤真彦:
僕は車を運転するのに水素(燃料)への思いを聞かされてきて。メカニックやエンジニアの人に優しく運転しなきゃダメですかって聞いたら、『いやいや、いじめてください』って言われたんですよ。『一般の人が運転してもいいような車を作りたいので、丁寧に運転しないでください』って言われて、それにちょっと感動したんですよ。膿を出したいんですよね?

モリゾウ:
そう。最終的なお客様が乗る前にね。それには最高の実験室であり、車を鍛える場がモータースポーツだと思います。

過酷な24時間レースだからこそ、ぶつかる壁。

この経験が「未来のクルマ」を鍛えていく。

スーパー耐久2024シリーズ第3戦は7月27日(土)・28日(日)、大分県・オートポリスで開催される。

(映像提供:STO)

「MONDAY MOTOR SPORT」
フジテレビ系「FNN Live News α」内で放送
毎週月曜23時40分~

スーパー耐久2024
7月27日(土)~28(日)第3戦
5時間レース・オートポリス
https://supertaikyu.com/

トヨタイムズ
https://toyotatimes.jp/
 

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