個人戦の決勝で上手投げで勝利した日本大の花岡真生選手(右)=福岡県久山町の福岡久山相撲場で2024年5月5日午後1時59分、林大樹撮影

 福岡県久山町で5月5日に開かれた第32回全国選抜大学・社会人対抗相撲九州大会(毎日新聞社共催)の個人戦で、日本大の花岡真生選手(4年)が初優勝した。団体戦では準決勝で敗れ、3日に大分県宇佐市で開かれた全国大学選抜相撲宇佐大会でもタイトルを逃していただけに「(地元の)九州で優勝ができて、両親にも優勝する姿を見せられてよかった」と笑顔を見せた。

 準決勝は、和歌山県庁の宮崎麗選手と対戦。立ち合いから突き押しで向かってくる相手に対して、まわしを取らせないように注意しながら相手の攻撃をいなす。一瞬のすきを逃さずに右手で相手のまわしを取ると、上手出し投げで決勝進出を決めた。

 決勝の相手は、宇佐大会の個人戦を制した拓殖大の五島雅治選手(4年)。「大学に入ってから何度も対戦していて、勝ったり負けたりを繰り返すライバル」と、闘志を燃やそうとしながらも「出身地の九州での大会で声援も大きくて、意外と冷静になれた」と自然体で試合に臨めた。

 立ち合いで、準決勝と同じく右手で五島選手のまわしをつかんだ。「右まわしを取れば自分は負けない」。得意とする取り口に持ち込むと、五島選手の攻めを防ぎながら一気に土俵際まで攻め込む。最後は豪快に上手投げを決めた。

 応援に駆けつけた出身校となる熊本・文徳高の本田浩二総監督(58)は「高校時代から真面目な生徒でよく稽古(けいこ)をする選手だった。体を大きくして技術も身につけているあたりが努力の証。頑張るところを見られてよかった」と目を細めた。

 熊本県宇土市出身で幼稚園の時に相撲を始めた。前回大会覇者で、大相撲夏場所で幕下最下位格付け出しでデビューした草野直哉=伊勢ケ浜部屋=とは高校、大学も同じだ。宇佐大会で敗れた際には落ち込んでいたが「草野さんを始め、いろいろな先輩方からたくさんの叱咤(しった)激励をいただいて、気持ちの整理になった」と切り替えられた。

 3月の春場所で110年ぶりに新入幕優勝を果たした尊富士=伊勢ケ浜部屋=は日大の先輩で、憧れの関取の一人だ。大学卒業後も相撲は続ける予定だが進路は悩んでいるという。学生最後のシーズンが始まり「個人戦よりも団体戦での優勝が欲しい。インカレ(全国学生相撲選手権)の団体優勝を目標にしているので、チームを引っ張りたい」と意気込んだ。【林大樹】

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