5区、仙台育英の市川太羅(奥)を引き離し、競り合う大牟田の塚田虎翼(左)と佐久長聖の酒井崇史=京都市内で2024年12月22日、中川祐一撮影

 持ちタイムの「速さ」だけではない「強さ」があった。5000メートル13分台のランナー5人をそろえる佐久長聖。最速集団の連覇の夢をつないだのは、2人の「14分台ランナー」が見せた粘りだった。

 3区で佐々木哲がトップに立ち、前回大会アンカーで好走した4区の篠和真へ。2大会連続の独走態勢を築くかと思われたが、篠が終盤で失速し、大牟田と仙台育英に追いつかれた。高見沢勝監督は「4区で差を広げるプランだったので、まずいな、と。正直不安だった」と当時の思いを明かす。

 5区の酒井崇史と6区の岸端悠友はともに5000メートル14分台で、メンバーの中で6、7番手の選手だったからだ。

6区、中継所前で大牟田の森本守勇(左)を引き離す佐久長聖の岸端悠友=京都市内で2024年12月22日、中川祐一撮影

 厳しい展開にも、酒井は「今年は競り勝つレースをすることを心がけてきた。集団で来ることも想定していた」と冷静だった。区間2位の好走で、仙台育英を引き離し、先頭の大牟田と2秒差でつないだ。6区の岸端も、大牟田の森本守勇と同タイムの区間賞で2秒差を維持した。

 5000メートル13分台のアンカー石川浩輝に大牟田と僅差でたすきを渡せたことが逆転勝ちを生んだ。

 前回大会で出した大会記録に33秒及ばなかった。それでも、浜口大和と佐々木の2大エースに触発されるように、競り合いで負けない走りを全員が磨いてきた。岸端は「心強い2人に引っ張られて、日々の寮生活から妥協なく競技と向き合ってきたことが強さにつながった」と振り返った。

 主将の浜口は「昨年は『最速』のチームを目指していたが、今年は各区間で競り勝てる『最強』のチームを目指してきた」と胸を張った。「最強」を証明する連覇だった。【皆川真仁】

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