4区、先頭の佐久長聖の篠和真(右手前)を追う(左から)仙台育英の菅野元太と大牟田の野田顕臣=京都市内で2024年12月22日、中川祐一撮影

 京都市で22日に開かれた男子第75回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催、SGホールディングス特別協賛)で、大牟田(福岡)は2位に入る健闘を見せた。4、5、6区で区間賞を獲得し、優勝争いに最後まで食い込む粘りを見せた。昨年の6位からの躍進の立役者の一人が、2年連続で4区を走った野田顕臣(けんしん)選手(3年)だ。

 トップと37秒差の4位でたすきを受け取った野田選手は、沿道の声援にガッツポーズを何度も返しながら笑顔で8キロあまりを駆け抜けた。前を走る仙台育英(宮城)と佐久長聖(長野)との差をわずか2秒まで縮めて3位に押し上げた。

 レース後、「『大牟田ファイト』の声援に、20回くらいは手を上げたと思う」と振り返った。淡々と走る選手の中で異彩を放っていたが、「応援は力になるし、感謝の気持ちを伝えたかった。きつかったが、走りを通じて勇気や感動を与えたかった」と語る。

赤池ヘッドコーチから試合前、右腕に書いてもらった「大牟田魂出し切れ。お前ならやれる!」という言葉を見せる大牟田の野田顕臣選手=京都市で2024年12月22日午後3時23分、長岡健太郎撮影

 同じ区間でデッドヒートを繰り広げた仙台育英の選手に対し「『まだ自分は余力があるんだぞ』とプレッシャーをかけたい思いもあった」と明かす。ラストスパートでは惜しくも勝ちきれなかったが、「表情だけでも絶対に勝ってやるという思いで走った」。

 赤池健ヘッドコーチも「ものすごく良い走りだった。ちょっと手を上げすぎでしたけどね」と苦笑いしつつ、「あの手の上げ方は調子の良い証拠。頼もしかった。大牟田では昔から『応援に応えるぐらいの余裕がなきゃダメだ』と言われてきた」と目を細めた。

 野田選手は「この一年間、最高のチームで駆け抜けてきて、全員が切磋琢磨(せっさたくま)し、あと一歩で優勝というところまで来た。走ったメンバーだけでなく、チーム全員で勝ち取った2番」と誇った。【長岡健太郎】

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