1区、先頭集団から抜け出し、親指を立てて笑顔を見せる区間賞の八千代松陰の鈴木琉胤=京都市内で2024年12月22日、中川祐一撮影

全国高校駅伝・男子(22日、京都)

7区間42・195キロ

鈴木琉胤(千葉・八千代松陰) 1区=28分43秒

 1区の日本選手の最高記録を更新した八千代松陰の鈴木琉胤(るい)(3年)は終盤の感覚を「自分じゃない自分が走ってくれたみたいだった」と振り返る。走っている自分を上から見るような感覚になったという。

 スタート直後から先頭集団を引っ張った。意識していたのは後ろの選手たちとの駆け引きではない。2019年大会の八千代松陰の佐藤一世と23年大会の須磨学園の折田壮太が出した日本選手の最高記録の28分48秒にどれだけ迫れるかだった。

 「タイムを追えばおのずと(後ろは)離れる。誰が来ても関係なく、自分のレースをする」。事前に描いていたプラン通りの快走で、中盤からは独走状態に入った。

 7キロ地点では、記録より10秒ほど遅れていたが、沿道で地元の友人や恩師がエールを送る姿が目に入った。「昨年の1区で自分がきつくなった場所にいてくれって頼んでいた。そこでもう1回、ギアを上げる」。極度の集中の感覚になったのは、この時だ。残り3キロを8分1秒のハイペースで駆け抜け、記録を5秒更新してたすきをつないだ。

 千葉県松戸市出身。中学まではサッカー部に所属しながら陸上の大会にも出ていた。中学3年の全日本中学校選手権の3000メートルで優勝し、高校から陸上に専念した。

 高校2年時はけがで走れない時期もあったが、体のバランスを整える補強トレーニングで癖を直すなど、できることを確実にこなしてきた。「自分がやれることはすべてやって、準備は完璧だったという自負があった」。積み重ねてきた自信も、集中状態への呼び水になった。

 来春、早稲田大に進学する。駅伝では箱根駅伝の優勝、個人では2028年のロサンゼルス・オリンピック出場を見据える。スケールの大きさを、自身最後の都大路で証明してみせた。【吉川雄飛】

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