国際大会終了後にアポロシアターの前でトロフィーを持つ同志社大のダブルダッチチーム「YESMAN」(後列)と「SHOWMEN TOPPER’s」(前列)。平野壮琉さんは後列右から3人目=平野壮琉さん提供

 2本の縄を使う縄跳び「ダブルダッチ」の国際大会が7日、米ニューヨークのアポロシアターで開催され、同志社大生のチームが優勝を果たした。歴史は浅いが日本の大学生を中心に盛り上がっている「アーバンスポーツ」で、優勝チームメンバーの同大グローバル地域文化学部4年、平野壮琉(たける)さん(23)は「海外でパフォーマンスできて楽しかった」と振り返った。【川畑岳志】

 衣装に身を包んだメンバーがアップテンポな音楽に合わせて2本の縄を跳びながら踊ったかと思えば、別のメンバーが派手なアクロバットを披露する。縄の回し手も代わりながら各メンバーが目まぐるしく次々に技を決め、観客は歓声を上げる。スポーツというよりも「ショー」だ。

 一般財団法人「日本ジャンプロープ連合」(東京・増田明美理事長)によると、ダブルダッチは1992年に日本に伝わったという。現在は大学サークルや教室など全国に約70団体があるほか、プロチームも現れてきているなど、国内でも徐々に広がってきている。

 大会は3~6人のチームで技術力▽表現力▽構成力▽オリジナリティー▽完成度――の合計点を競う。平野さんが所属するチーム「YESMAN」は、10月に神奈川であった全国大会「ダブルダッチデライトジャパン」で2位に入賞し、国際大会への出場権を得た。

 チームは同志社大4年の桐畑拓人さん(23)▽嘉屋茜さん(22)▽清水夢実さん(22)▽山下ひかるさん(22)▽勝山誠也さん(21)――を加えた6人。勝山さん以外は、大学から始めた初心者だった。平野さんは高校まで陸上をしていてダブルダッチを知らなかったが、友人に誘われて行った同志社大サークル「シルブプレ」の新入生歓迎イベントで先輩のパフォーマンスに魅了されて始めた。「それまでの縄跳びのイメージと違った」

 初めは縄を跳ぶのはもちろん回すことすら難しかったが、練習すればするほどできる技が増えることがうれしくて没頭した。2年生以降は全国大会を目標にするようになり、練習頻度も週5日ほどまで増えた。そのおかげもあってめきめき上達したが、4年生になり大学「最後」の2023年大会ではミスが響いて関西大会で敗退した。

 全国大会出場の夢はついえたように思えたが、その後カナダ留学のため大学を1年間休学したことでチャンスは再び巡ってきた。新しいメンバーも加え、他大学の先輩の力も借りながら、「技術の質だけでなく、面白みのある技を盛り込んで観客を飽きさせない」ことを目指して演技を作り上げた。メンバーは就職活動や卒業論文執筆の合間を縫うようにして時間を作り、演技の完成度を磨いた。

 練習の日々は楽しいことばかりではなかった。周囲の友人を見ると旅行や遊びで大学生活を満喫しているように見えた。部活ではないのに「練習があるからごめん」と友人からの誘いを何度も断った。そうして続けた努力は実り、全国大会出場の目標を大きく越えて国際大会で優勝を果たした。平野さんは「続けてきてよかった。社会人になっても続けたい」と話した。

 国際大会では、全国大会を3位で通過した同大の3年生チーム「SHOWMEN TOPPER’s」(竹中理貴さん▽大納慶優さん▽城向葵さん▽礒野花楓さん)も3位に入賞している。【川畑岳志】

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