サッカー・J1は8日、3チームに優勝の可能性を残して最終節を迎える。現在、1位はヴィッセル神戸(勝ち点69、得失点差プラス22)、2位はサンフレッチェ広島(同68、プラス31)、3位はFC町田ゼルビア(同66、プラス22)。神戸は勝利で優勝が決まる。勝ち点で並べば得失点差で決まるため、現時点では広島が優位。町田は勝利した上で他会場の結果次第となる。
最終節に3チームにタイトルが懸かるのは2014年のガンバ大阪、浦和レッズ、鹿島アントラーズ以来(結果はガ大阪が優勝)、10年ぶりとなる。
3チームの躍進は現代サッカーの潮流を反映したものと言える。共通するのは「強度の高いサッカー」。ハイプレスで相手に圧力をかけてボールを奪取し、攻撃につなげるのが基本戦術だ。
17年から22年まで優勝を分け合っていた川崎フロンターレと横浜F・マリノスはボールの保持率を高め、試合を支配するサッカーをしていたが、欧州を見てもハイプレスを取り入れているチームが結果を出している。
基本は同じでも、特に攻撃面でチームごとの特色がある。
神戸は大迫勇也、武藤嘉紀ら日本代表経験のあるアタッカーの「個」の強さを前面に押し出す。今季はそこに宮代大聖も加わり、得点パターンが増えた。この3人はいずれも2桁得点を挙げている。
広島は選手が流動的に動き、得点を目指すスタイル。チーム得点王だった大橋祐紀が夏に欧州に移籍し、現メンバーの最多得点はFW加藤陸次樹ら3人の8得点だが、主力のMF東俊希は「個の能力に頼らずに全員で崩すことができている」と自信を持つ。
町田は黒田剛監督の下、「失点に拒否反応がある」と守備に重きを置く。攻撃では長身のFW呉世勲(オ・セフン)を前線に配し、ロングスローを多用するなどし、こぼれ球を拾っての2次攻撃に転じる作戦を用いている。
各チームの背景も対照的だ。神戸は長年、低迷していたが、大迫らの獲得で力をつけ、昨年J1初優勝を果たした。9年ぶり4度目の優勝を目指す広島は「育成型クラブ」を掲げ、ユース出身者が多くプレーする。町田は史上初の「J1初昇格での初優勝」が懸かる。
頂点に立つのは「王者」か、「復権」か、「新興」か――。最終節は8日午後2時、同時開始となる。【生野貴紀、高野裕士】
3チームの最終節の対戦カード
・ヴィッセル神戸―湘南ベルマーレ(ノエビアスタジアム神戸)
・ガンバ大阪―サンフレッチェ広島(パナソニックスタジアム吹田)
・鹿島アントラーズ―FC町田ゼルビア(県立カシマサッカースタジアム)
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