日本中央競馬会(JRA)で騎手が「調整ルーム」にスマートフォンを不正に持ち込むケースが相次いでいる。女性騎手として最多のJRA166勝を誇る藤田菜七子騎手(27)も同様の行為で10日に騎乗停止処分を受け、引退した。
そもそも、調整ルームとは何か。
調整ルームは各競馬場にあり、騎手の居室のほか、食堂、浴室を備えている。騎手は競馬開催日の前日午後9時までに騎乗を予定している競馬場の調整ルームに入室する。
体重調整などのコンディション管理とともに、八百長を防止するため外部との接触を避けることが目的。入室時には、携帯電話をロッカーに預けなければならない。
レース当日早朝にトレーニングセンター(トレセン)で馬の調教を行ってから競馬場に向かう場合は、前日にトレセンの調整ルームに入室する。
地方競馬でも、騎手は不正防止のため隔離されるのは同じだ。ただ、南関東競馬(大井、川崎、船橋、浦和)では、各騎手が所属する競馬場で開催される週のみ調整ルームに入り、そうでない騎手は自宅待機になる。
大半の週の開催期間が5日間とJRAよりも長いため、主催者に申し出れば、立ち会いのもと騎手は通信機器を使用することができる。
岐阜県の笠松競馬では、2021年に騎手や調教師が馬券を不正に購入し、利益を得ていたことが発覚。レースを主催する岐阜県地方競馬組合は再発防止のため、調整ルームに監視カメラや集音マイクを設置した。スマホを持ち込んでも通信できないよう、通信抑止装置も導入した。
ほかの公営競技ではどうか。競輪では、選手はレース前日に競輪場に入り、自転車と選手自身の検査を行う。その際、不正防止のために通信機器が回収される。
ボートレースでも、選手は開催中、選手宿舎に入り、外部と接触できないよう隔離される。通信機器も預けなくてはならない。
ボートレースでは、20年に選手が八百長をして現金を受け取った疑いで逮捕され、実刑判決を受ける事件があった。これを機に、空港で使われているものと同じゲート式金属探知機も導入されている。【中嶋真希】
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