元オリックス球団職員で、現在はフリーアナウンサーの大前一樹さん(63)と、朝日新聞スポーツ部のオリックス担当・高橋健人記者が対談する「オリいったお噺」。今回は今季初勝利を挙げた山下舜平大投手について語り合います。

 高橋 山下投手が今季6度目の先発となった18日の日本ハム戦でシーズン初勝利を挙げました。五回まで被安打2で1失点。新人王に輝いた去年、最後の9勝目を挙げたのが腰のけがで離脱する前の8月だったので、ちょうど1年ぶりの白星です。

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 大前 一、二回に二つずつ四球を出しましたが、あとはすんなりいきました。どの球種でも空振りさせ、9個の三振を奪いました。良いときの山下投手が戻ってきたのかなっていう印象でした。

 高橋 今年は制球が安定しなくて苦しみましたね。もっと重い球にしようと昨オフに105キロまで体重を増やした結果、投球フォームのバランスが悪くなってしまったようです。

 大前 「最近、痩せたよな?」と聞いてみたら「痩せました」って。キャンプのときより5キロぐらい減ったみたいで、見た目もすっきりしてきた感じです。「夏なので落ちます」とは言っていたけど、相当努力したと思います。

 復調のきっかけをつかんでもらうためにブルペン陣にまわって失敗。その後、2軍で先発をやって制球難に改善の兆しがみえていました。ずっと先発への気持ちが強かったと思うし、この間の1勝は本当に大きかったです。

 高橋 将来性があるからこそ、良い感覚を取り戻せたところは良かったです。

 大前 そうなんだよね。高卒4年目だから、いまの大学4年生と同じ代です。大学を卒業したと思って、来年もう1回やればいい。今年は良い勉強になっていると思う。1軍デビューした去年はけがを除けば、成功体験しかなかったですから。

 高橋 印象的なのは山下投手が苦しい状況でも、弱音をはいたり、マイナスな発言をしたりしなかったことです。精神力の強さを感じました。

 大前 プロ初登板だった去年の開幕試合に挑む前にも「特に緊張してない」って言える投手なのでね。宮城大弥投手もそうだけど、良いピッチャーは気持ちが強いです。大卒2年目の曽谷龍平投手も今年の成長はすごい。打線の援護が少ないのは苦しいけれど、年の近い若い世代の投手たちが奮闘していると思います。

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