今、関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。8月21日はパリ五輪で盛り上がった体操競技について、「体操王国」岡山のルーツを探ります。担当は篠原記者です。
(篠原聖記者)
「先日のパリオリンピックでは岡山市出身の岡慎之助選手(20)が3つの金メダルを獲得する大活躍を見せましたが、実は、今回の男子体操ニッポンチームには岡山ゆかりの人がまだいるんです。水鳥寿思監督と補欠メンバーとしてパリに帯同した土井陵輔選手。2人とも岡山市の関西高校体操競技部の出身です」
(岸下恵介キャスター)
「水鳥監督はアテネオリンピックの団体で金メダルを獲得していますし、土井選手も世界選手権でメダルを獲得した実力のある選手です。他にも多くのメダリストを輩出していますので岡山はまさに「体操王国」と言ってもいいんじゃないでしょうか」
(篠原聖記者)
「はい、その始まりと言えるのは4年後と同じ舞台、1984年のロサンゼルスオリンピックの金メダリスト、森末慎二さんです。森末さんたちメダリストの活躍を振り返りながら、体操王国「岡山」の系譜をお伝えします」
パリオリンピックで持ち味の「美しい体操」を披露し、日本勢で52年ぶりの3冠を達成した岡慎之助選手。
(実況)「岡山市出身。20歳。伝統を繋いだ歴史を作った岡慎之助」
遡ること40年前のロサンゼルス。
当時の採点方式で10点満点を獲得し、種目別鉄棒の金メダルに輝いたのは岡山市出身で当時27歳の森末慎二さん。表彰台では大粒の涙を流しました。
(当時の森末慎二さん)
「鉄棒は森末が強いと言われてきたが、やっとメダルが取れた。そう思うと涙が止まらなかった」
他にも跳馬で銀、団体で銅と、合わせて3つのメダルを獲得し地元に凱旋、岡山の街は歓喜の渦に包まれました。
現在は沖縄県の宮古島で飲食店を営む森末さん。同じ岡山市出身の岡選手の活躍に注目していました。
(森末慎二さん)
「同じ岡山県の出身としてはうれしく思う。僕の体操が美しかったかは分からないが、宙返りをするだけでもきれいな姿勢という体操の基本を作ったのは岡山。金メダリストの基本を作ったと思っている」
森末さんが本格的に体操を始めたのは高校時代。
(篠原聖記者)
「森末さんの出身校の関西高校です。県内屈指のスポーツ強豪校で、森末さんの他にも多くのメダリストを輩出しています」
60年以上の伝統を誇る体操競技部では森末さんの活躍をきっかけに実力のある選手が増え、1988年のソウルでは津山市出身の水島宏一さんが団体銅メダル、2004年のアテネではつり輪のスペシャリスト、水鳥寿思さんが団体金メダル、2008年の北京ではゆかで高得点を叩き出した沖口誠さんが団体銀メダルと続きました。
(森末慎二さん)
「技一つ一つの基本を大事に指導してきたと思う。岡山「体操王国」関西高校の体操が強いというのは昔から言われてきたので、後輩たちが伝統を守ってくれた」
そして、岡山県勢としては40年前の森末さん以来となる個人種目での金メダルを獲得した岡選手。県体操協会の副理事長を務める関西高校の藤原校長は当時の森末フィーバーと重ね、岡山の体操界の活性化に期待を寄せています。
(関西高校 藤原佳市校長)
「岡山でもトップになれるというのが証明された。生徒は岡選手みたいな着地をしたいと思っている。(体操人口が)増えると思う。増えてほしい」
(森末慎二さん)
「(岡山の)監督やコーチが今の指導方法で伝授していくので、それだけすばらしい選手が岡山から生まれてくると思う」
(中塚美緒キャスター)
「岡選手の活躍を大勢の子供たちが見ていたと思うので、体操界がますます活性化しそうですね」
(篠原聖記者)
「はい、実はその兆しがすでに出始めています。岡選手が15歳の時に岡山を離れるまで所属していたおかやまジュニア体操スクールには現在250人の子供たちが通っていて、パリオリンピック以降、新規入会の問い合わせが増えているということです。「綺麗な体操」をモットーに掲げ、岡選手の「美しい体操」の原点。8年後のオーストラリア・ブリスベンオリンピックの出場を目指し練習に励む選手もいました」
(岸下恵介キャスター)
「この中から第2の岡選手が誕生するかもしれませんね」
(篠原聖記者)
「はい、現在の体操競技では技の出来栄えを示すEスコアの評価がありますので、岡選手が岡山で磨いた姿勢や技のしなやかさといった「美しい体操」の基礎が重要とされています。これまで、大切にしてきた指導方針というのが今回のパリオリンピックで実を結んだと言えそうです」
(岸下恵介キャスター)
「4年後、そして8年後も本当に楽しみですね」
「体操王国」岡山の系譜はまだまだ続きます。
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