早稲田実の和泉実監督=小出洋平撮影

 第106回全国高校野球選手権大会は第11日の17日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で3回戦があり、早稲田実(西東京)は大社(島根)に延長十一回タイブレークの末、2―3でサヨナラ負けした。

 九回裏の守備で「内野5人シフト」を繰り出し、一度はピンチを脱した早稲田実の和泉実監督は、涙ながらに激闘を振り返った。試合後の主なコメントは以下の通り。

早稲田実・和泉実監督

 いやー、ようやった。60(歳)過ぎてこんなにいい試合、いい経験させてくれて、もうこいつらすげえなって思いました。あー、甲子園のナイターってきれいだね。本当にお互いの生徒が美しかった。生徒の頑張りを見ると感極まるね。

 (同点の九回裏1死二、三塁で内野5人シフト)大社はほぼ100%スクイズをしてくるので、とにかくスクイズだけはさせまいと思っていた。(4番打者で左翼手の)石原(優成選手)は当たっていたので、代えるのはどうかなと思ったけど、バント処理のために内野手の西村(悟志選手)を入れた。1年生だけど一番守備が安定しているので。

 (5人シフトは)まさか甲子園でやるとは思わなかった。(成功する可能性は)3%かな。都大会でセーフティースクイズで負けたことが以前のチームで何回かあったので、おととしくらいから練習するようになった。

 僕らが選手の時は木製バットを使っていたので、そういう細かい練習もしていましたよ。(1982年夏に)金属バットで荒木(大輔投手)が池田高校に粉砕された頃から、体をつくって遠くに飛ばす野球にシフトしたけど、(低反発バットの導入で)また昔に戻ってきたのかな。

 先発の中村(心大投手)はマメをつくって交代せざるをえなかったが、よく七回まで抑えてくれた。最善の努力はしたが、最後はエースの馬庭(優太)投手に打たれてしまった。こういうもんですよ、甲子園って。だから、みんなとりついているんじゃないですか。

 報徳学園の試合で馬庭投手を見た時から、彼を攻略するのは難しいなと思っていた。彼が全部(流れを)ぶっちぎった。いやー本当に、ここぞというところで魂のこもったストレートは打たせてもらえませんでした。最後のバッティングも含めて彼の魂を感じた。

 選手たちは主将の宇野(真仁朗選手)を中心によくやってくれた。宇野はこれだけ注目されて全然打てないから責任を感じていると思うけど、宇野がつくったチームで、彼のおかげで甲子園に来られた。本当にようやった。

 甲子園はみんなに優しいね。負けた後の声援は心に刻みました。きょう見てくれた方は、少なからず目に焼き付けてくれたんじゃないかな。負けを覚えているとやってられないけど、きょうの敗戦は監督を辞めた後も覚えていると思いますよ。

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