(17日、第106回全国高校野球選手権大会3回戦 早稲田実2ー3大社=延長十一回タイブレーク)

 早稲田実は絶体絶命の場面で、秘策を繰り出した。九回裏の守り。同点とされ、なお1死二、三塁で大社の2番藤江龍之介を打席に迎えた場面だ。左翼手の石原優成に代わって、1年生の西村悟志が出場した。

 本来なら二塁手の西村は左翼に向かわず、投手と三塁手の間にいる。「内野手5人シフト」。藤江がゴロを打つと、「体のどこに当たってもいいから止めよう」とすばやく捕球し、一塁へ投げて2死に。本塁を狙った三塁走者は、一塁手の国光翔が捕手の山中晴翔に転送してタッチアウト。サヨナラ負けの危機をくぐり抜けた。

 このシフトは、ピンチを想定して7月の西東京大会前からチーム全体で練習していた。それを、初めて公式戦で繰り出した。ビッグプレーを完成させたが、大接戦は勝ちきれなかった。西村は「甲子園は気持ちのぶつかり合いだと思った」と最後まで堂々と話した。

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