(13日、第106回全国高校野球選手権大会2回戦 青森山田9―1長野日大)

 勝負あり。そう思わせたのは三回、青森山田の蝦名翔人選手(2年)の一打だった。

 2点を先制して、なお2死一、三塁から、左翼フェンス直撃の2点二塁打を放った。直後、相手の先発エースが降板した。

 ここだ。

 チームに、二つの戦略があった。一つは「五回までに先発を交代させる」。エースは左腕で、青森では見たことのないような緩い変化球を使う。その球をとらえられるか。打者の対応力が試合のカギを握っていた。

 もう一つは「2ストライクからは内角に投げ込んでくる。その球を打つ」。見本となったのが、蝦名選手の打撃だった。

 身長182㌢。上背と長い腕を生かして、バットを大きくしならせて打つ。

 2ストライクから狙い打ったのは、内角のスライダー。「球が来るのを、しっかり待つことができました。打てたのは甲子園の力かも」と、笑顔をみせた。

 初戦の難しさからか、3、4、5番は無安打に倒れた。だが、6、7、8番で7打点をたたき出した。そのうち7番の蝦名選手が、チーム一の3打点と存在感を示した。

 「いつも中軸の3人に頼っているので、下位の自分たちが頑張らないと。次も、チーム全員の力で勝ちたいです」

 うちは下位打線が怖いぞ――。そんな、あいさつ代わりの快音を響かせた。(渡部耕平)

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