【東海大相模-富山商】東海大相模の先発・藤田=阪神甲子園球場で2024年8月12日、矢頭智剛撮影

高校野球・夏の甲子園2回戦(12日)

○東海大相模(神奈川)4―0富山商●

 身長198センチ。右足を高く上げ、力感のないゆったりしたフォームから2段モーションで投げ込む球は角度がある。東海大相模のエース左腕・藤田琉生投手は、長身を生かして三振の山を築いた。

 初となる甲子園のマウンド。先発を告げられたのは当日朝だったという。それでも浮足立つことはなかった。140キロ台の直球は伸びがあり、落差の大きいカーブや切れのあるチェンジアップで何度も相手のバットに空を切らせた。

 四回には3者連続三振を奪うなどテンポ良く投げ込んだ。得点圏に初めて走者を背負ったのは2点リードの七回だった。四球絡みで2死一、二塁となったが、平常心を保った。「三振を取りにいくと力んでしまう。打たせていこう」。富山商の7番・三谷竜輝選手に対し、3球で追い込んだもののファウルで粘られたが、自慢の直球にこだわった。最後は144キロの外角やや高めの直球を振らせた。7回までで13個の三振を積み上げ、無失点で次の投手に託した。

 高校生とは思えない高身長はバレーボール選手だった両親譲り。富山商の三谷選手が「(これほど長身の投手は)本当に初めて。球速が同じでも、ほかの投手より『どーん』とくる感じだった」というほど迫力十分だった。2段モーションは中学時代に試し、いい感覚が残っていたことから取り入れたという。力を入れずとも球威ある球が投げられるようになった要因の一つでもある。

 東海大相模といえば、2015年夏に優勝した時にエースとしてチームを引っ張った左腕・小笠原慎之介投手(中日)がおり、21年春のセンバツを制した時も183センチの長身左腕・石田隼都投手(巨人)の好投がインパクトを残した。

 5年ぶりに夏の聖地に戻ってきた東海大相模。小笠原選手に憧れて入学したという藤田投手は、かつての好左腕をほうふつとさせる大物ぶりを披露した。【下河辺果歩】

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