夏の甲子園第2日の8日に登場した2年ぶり14回目出場の興南(沖縄)は、大阪桐蔭に0―5で敗れ、初戦突破はならなかった。それでも興南側のアルプススタンドでは吹奏楽部が部として初めて甲子園応援に駆けつけ、例年沖縄勢の応援に「助っ人」で参加する市立尼崎高(兵庫県尼崎市)の吹奏楽部との協演で選手たちを後押しした。
市立尼崎高吹奏楽部の総指揮を務める羽地(はねじ)靖隆さん(76)は沖縄出身。兵庫県内の別の学校で音楽を教えていた40年以上前、遠方で吹奏楽部の甲子園入りが難しい沖縄代表の出場校から依頼され、それ以来、「友情演奏」を率いている。
一方、興南ではこれまで吹奏楽部員が少なく、部として甲子園応援をしていなかったという。今年は系列の中学を合わせた部員が25人に増え、自前の応援曲を準備。顧問の真栄城吉孝さん(61)は「野球部の応援団と毎日ミーティングしながら曲をアレンジしていった」と振り返る。
アルプスの応援には、部員のうち中学生部員2人を含む8人が参加。市立尼崎高の140人と共に、用意してきた「興南サンバ」を披露。沖縄勢の応援でおなじみの「ハイサイおじさん」も演奏した。曲に合わせて応援団らの指笛も響き、興南の吹奏楽部の志良堂(しらどう)亜美部長(3年)は「高校で入部した時は先輩もおらず、部員が1人だった。聖地で演奏できるのは夢のよう」と笑顔を浮かべた。
市立尼崎高吹奏楽部の副田稀々奏(ののか)部長(3年)は「野球と吹奏楽で分野は違うが、日本一を競う同学年の熱気を感じ、応援できることがうれしい」と話した。
残念ながら敗れたが、興南のアルプススタンドを仕切った応援団長、川満煌心(こうしん)さん(3年)は「選手も勇気づけられたと思う」と演奏に感謝を述べた。【池田真由香、井土映美】
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