【詳しくはこちら】フェンシング 男子エペ団体 日本 銀メダル パリオリンピック
“長男”と“次男”と“弟”と
特筆すべきは選手たちの仲の良さ。
中心メンバーの山田優選手は加納虹輝選手と古俣聖選手を含めた4人のチームメートを“家族”と表現しました。
山田優 選手
「見延さんは長男で、僕が次男。虹輝はしっかり者の弟で、聖は変わり者の弟。みんな家族です」
そして厳格な父親が2010年からチームを率いるウクライナ出身のオレクサンドル・ゴルバチュクコーチ。
1年の多くを海外遠征や合宿で過ごすなか、本当の家族同様に支え合いながら、ライバルとしても技術を磨き合い、世界トップクラスのチームに成長してきました。
東京五輪の金メダルから苦しい歩み
しかし、世界中を驚かせた東京大会の金メダルから3年、その歩みは決して順調ではありませんでした。
みずからを『フェンシング職人』と評するベテランの見延選手は、目標を達成したことによるモチベーションの維持に苦しみ、山田選手も深刻な不調に陥りました。
この厳しい状況を引っ張ったのが“しっかり者の弟”加納選手でした。
東京大会の経験を自信に変え、個人で国際大会を制するなど世界ランキング1位になり、日本フェンシング界の男子のエースになりました。
すると、触発されるように“兄”2人も復調し、パリオリンピックに照準を合わせる形でチームは再び世界のトップを狙える位置に戻ってきました。
加納選手の安定感に山田選手の爆発力。
そしてチーム全体を見延選手が支え、リザーブの古俣選手は流れを変えるキーマンに。
古俣選手以外の3人は東京大会と同じメンバーですが、それぞれの役割を変化させることで前回とは違うチームに変貌を遂げました。
見延和靖 選手
「それぞれが形を変えていくことで新しいエペ陣になった。僕たちは常にチャレンジを続けて壁をぶちこわしてきたチャレンジャー集団」
パリ五輪 苦戦しながらも2大会連続のメダル獲得
パリオリンピックでは初戦のベネズエラ戦から大苦戦。
途中出場した古俣選手は緊張から地に足がつかない状態でしたが、そこは“兄”たちの奮闘でなんとか連勝し、2大会連続の決勝の舞台にたどり着きました。
ハンガリーとの決勝ではその古俣選手が劣勢を盛り返して延長の大接戦にまで持ち込みました。
惜しくも敗れ、2連覇を飾っての「エペジーーン」はなりませんでしたが、オリンピックという最高の舞台で“家族”の団結力とその強さを世界に示しました。
加納虹輝 選手
「個人と団体はまったく別だなと感じる。楽しさ自体も違うし、みんなで取るメダルは喜びも4倍。東京大会の金メダルにはラッキーもあったが、今回は実力で決勝に登り詰めた。チームの力は間違いなく上がっている」
そう誇らしげな表情で語った加納選手。
見延選手も「まさにエペジーーンですね。それが団体にこだわる理由」と現役続行に向けてさっそく飽くなき向上心を見せました。
そして、今大会を集大成と位置づけていた山田選手にもまた新しい感情が芽生えていました。
山田優 選手
「今までとちょっと違う感情。もうちょっとで届くのに届かないというような。その先にあるのが金メダルだと思ってるんで、もう1回見直しながらまた1年、2年って頑張っていきたい」
日本の男子エペでは、メダリストたちに続こうと若い世代も育っています。
果たして次のロサンゼルスオリンピックではどんなファミリーのエペ陣が見られるのか、楽しみです。
【NHKニュース】パリオリンピック2024
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。