エース 八村を欠いて臨んだブラジル戦
今大会で目標とする準々決勝に進出するためには勝つことが絶対条件だったブラジルとの試合前、日本代表にとってショックなニュースが入ってきました。
NBA(アメリカプロバスケットボール)でプレーし、ここまでの2試合で44得点をマークしたチームの中心、八村塁選手がけがでチームを離脱したのです。
エースを欠き11人で臨んだブラジル戦。
相手の高さと精度の高いスリーポイントシュートに苦しみ、序盤からリードを許す展開となりました。
それでも第3クオーターに入ると日本が粘りを見せました。
ジョシュ ホーキンソン選手と河村勇輝選手が連係プレーからスリーポイントを決めると、その後は厳しいディフェンスから流れをつかみました。
第3クオーターを29対22として追い上げると、ホーキンソン選手が第4クオーターの最初の得点まで、5連続となるスリーポイントを決めて、ブラジルに1点差に迫りました。
それでも最後は、相手の精度の高いスリーポイントを止められずに敗れた日本は、開催国枠で出場した、前回の東京大会と同じ予選リーグ3戦全敗という結果に終わりました。
ただ、八村選手が抜けた穴をチーム全体でカバーしようとブラジル戦では全員がコートに立ち、チーム最年少の20歳、ジェイコブス晶選手やシューターの富永啓生選手といった若手が大会初得点をマークしました。
「世界一の練習量」でスタイルを作り上げる
そして、第2戦では開催国のフランスを残り10秒までリードし、あと一歩のところまで追い詰めるなど、世界との距離は確実に縮まったことを感じさせました。
東京大会のあとからチームの指揮を執るトム・ホーバスヘッドコーチのもと、日本は「世界一の練習量」というほどの練習を積んで、厳しいディフェンスから素早い攻撃でスリーポイントを打つというスタイルを作り上げてきました。
その成果は数字にもあらわれ、パリ大会で日本が打ったスリーポイントの数は東京大会と比べて1試合当たり9本以上多く、成功率も39.3%と5ポイントほど高くなりました。
チームが目標とするスリーポイントの成功率40%に近い数字を残し、世界と渡り合ったのです。
そして相手チームをリードした時間は、3試合を通してわずか19秒だった東京大会に比べ、今大会では14分近くまで伸ばしました。
キャプテンの富樫勇樹選手は「これが今の実力で、結果がすべてではあるが東京大会とは少し違う気持ちで終われたかと思う。そしてこの経験が次の世代に必ず生きてくると信じている」と話しました。
また、チームの中心の渡邊雄太選手は「ベスト8という目標があった中で達成できなかったことに対し今は悔しい気持ちでいっぱいだが、3試合を通して世界に日本のバスケットボールを見せることはできた」と胸を張りました。
そしてホーバスヘッドコーチは「日本は強くなった。世界のトップチーム相手でも私たちは自信があった。選手たちは相手に関係なく、日本のバスケットボールをやろうという気持ちがすごくあった。日本のバスケットボールはいい道につながっている」とチームをたたえました。
パリ大会の3試合でチームトップの61得点を挙げた河村選手とシューターの富永選手の2人は八村選手の背中を追って、この秋、NBAに挑戦することが決まっています。
世界の強豪に近づくために、少しずつ歩みを進めてきた日本のバスケットボールは次の世代の選手たちが受け継ぎ、4年後のロサンゼルス大会に向けて新たな道を切り開いていきます。
【NHKニュース】パリオリンピック2024
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