パリ・オリンピック第7日は1日、柔道男子100キロ級が行われ、東京五輪金メダルで2連覇を目指したウルフ・アロン(パーク24)は準々決勝、敗者復活戦ともに敗れてメダルを逃した。
日本勢の連続メダル獲得は、復権を期したウルフ・アロンの敗退で5日で途切れた。
敗者復活戦で相手に畳にたたきつけられると、ウルフは大の字になって呼吸を整えた。「僕の柔道人生の集大成にしたい大会」で不完全燃焼。試合後は涙をにじませた。
準々決勝で世界ランキング2位のイリア・スラマニゼ(ジョージア)に敗れ、五輪2連覇の夢が途絶えた。敗者復活戦ではニコロズ・シェラザジシビリ(スペイン)の決定的とも言えた投げをこらえ、延長戦に。しかし、最後は内股をかわされ、相手に押し込まれた。
「うまく間合いを詰めることができていなかったので、ちょっと不十分な状態で(技を)かけてしまった」。すでに金メダルを逃していたことで、気持ちの切り替えができていなかったという。
五輪にたどり着くまでの曲折を考えれば、「戻ってきたな」と感慨を覚えるのも当然の日々を送ってきた。
栄光を手にした東京五輪後の成績は下降線をたどる。
右足首を痛めた影響で2022年は主要国際大会で初戦敗退が続き、23年は世界選手権出場を逃した。明るいキャラクターでメディア出演をこなしながらも、「このままだとちょっと柔道が強い面白い人になってしまう」という危機感もあった。
一時は遠かったパリ五輪への道のりも、ライバル選手が伸び悩みチャンスが向いてきた。混迷する100キロ級の現状を示すように、パリ行きが内定したのは全階級で最後の24年2月だった。「あの(不振だった)時期があったからこそ今がある」。代表選出後にはそう語っていたが、2年近くトップ級の力を示せていなかったことのつけが大舞台で回ってきた。
パリを、自身が目指す最後の五輪と位置づけてきた。「(意思は)変わらないですね」。涙は、後悔と決意が入り交じったものだった。【パリ岩壁峻】
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