総合馬術は、馬場馬術とクロスカントリー、それに障害馬術の3種目からなり、個人と団体を兼ねて3日間にわたって行われます。
日本は28日に2種目目のクロスカントリーを終えてメダル圏内の3位につけましたが、29日の馬体検査で北島隆三選手の馬がクリアできず20点減点されて、5位スタートで最後の種目「障害馬術」に臨みました。
日本は、北島選手に代わって出場した田中利幸選手が1番手で登場し、安定した騎乗でわずかな減点に抑えました。
続く戸本一真選手も安定した美しいジャンプですべての障害物をミスなく跳び越え、減点のない完璧な騎乗を披露しました。
最後に、5大会連続のオリンピック出場となった大岩義明選手が登場し、規定時間を超過したわずかな減点に抑え、美しい騎乗を見せました。
日本は3種目の合計で115.8の減点で銅メダルを獲得しました。
日本が馬術でメダルを獲得したのは、1932年のロサンゼルス大会、個人種目で金メダルを獲得した西竹一さん以来92年ぶり、団体でメダルを獲得したのは初めてです。
金メダルはイギリスで2連覇を果たし、銀メダルはフランスでした。
ポイントは、いかに「人馬一体」となりミスを抑えるか
総合馬術、団体の日本は一度は出場への道を絶たれながらも繰り上げでたどり着いたオリンピックの舞台で、馬術としては92年ぶり、団体では初めてのメダル獲得という快挙を達成しました。
総合馬術は長方形の馬場の中で、馬のステップの正確さや動きの美しさなどを競う「馬場馬術」。
丸太や池などのさまざまな障害物が設置されたコースで競う「クロスカントリー」。
コースに設置された障害物を決められた順番どおりに跳び越える「障害馬術」。
この3種目の総合力を競います。
同じ馬に騎乗して3日間かけて行われ、減点が少ないほど上位となるため、いかに「人馬一体」となってミスを抑えるかがポイントとなります。
パリオリンピックのメンバーの大岩義明選手、戸本一真選手、北島隆三選手に加えて、今回はリザーブとなった田中利幸選手の4人は東京大会の前からチームを組み、2018年の世界選手権では過去最高となる4位に入るなど、実力を示してきました。
11位に終わった東京大会後も4人でパリオリンピック出場を目指しましたが、出場権獲得のかかった2022年の世界選手権では11位。
そして、去年行われた5か国中2位までに出場権が与えられる地域予選会ではわずか3ポイントあまりの差で3位となって、団体としての出場の道は一度は絶たれました。
しかし、その後、この予選会で2位に入った中国の馬から規制薬物が検出されたとして、騎乗していた選手の成績が取り消されたため、日本の順位が繰り上がって、出場権を獲得しました。
大岩「精神的にも強くなっている」
チーム最年長、48歳の大岩選手は「一転して手に入れた枠なので、みんなのオリンピックに対する思いは特別だ。4人とも調子がいいので、今はそれがいい方向に作用しているし、精神的にも強くなっている感じがある」と話し、運も味方につけてたどり着いたパリオリンピックに向けて意欲を燃やしていました。
戸本「いつも通りのパフォーマンスを」北島「もっとできる」
さらに東京大会の総合馬術の個人で日本選手で過去最高の4位入賞を果たした戸本選手も「いつも通りのパフォーマンスをして最初からいい流れに乗っていきたいし、それができればメダルに届く」と話し、北島選手も「世界選手権の4位はすごいことだったが、僕たちはもっとできると常々思っている」と自信を示していました。
馬術でのメダル 硫黄島で戦死「バロン西」西竹一さん以来
そして迎えたオリンピック本番、最初の馬場馬術を終えて5位に入ると、続くクロスカントリーでは大岩選手と戸本選手が減点をせずに終え、3位に順位を上げました。
最後の障害馬術では北島選手の馬が馬体検査をクリアできずに20点減点されましたが、代わりに入ったリザーブの田中選手も含めて減点を抑えて、目標のメダル獲得につなげました。
オリンピックの馬術での日本選手のメダルは1932年のロサンゼルス大会の金メダリストで、その後、太平洋戦争中に硫黄島で戦死した「バロン西」の通称で知られる西竹一さん以来で、団体では初めての快挙です。
繰り上げでのオリンピック出場というまたとないチャンスをしっかりつかみ、悲願を達成しました。
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