第106回全国高校野球選手権石川大会(朝日新聞社、石川県高校野球連盟主催)は27日、小松大谷が3年ぶり3回目の夏の甲子園出場を決め、幕を下ろした。能登半島地震で特に大きな被害を受けた奥能登地域の6校も単独出場し、44チーム(44校)が熱戦を繰り広げた。

 「野球ができることに、感動しています」

 石川大会は11日、七尾東雲の高山昴主将(3年)の選手宣誓で幕を開けた。地震から半年以上が過ぎたが、いまだに避難生活を送る選手もいる中での大会となった。

 今春の選抜大会に出場した日本航空石川は、部室棟が7月になって通水したという。宝田(ほうだ)一慧(いっけい)主将(3年)は「野球ができることが当たり前じゃないと感じる」と繰り返した。小松大谷に準決勝で敗れたが、九回に1点をかえし、執念をみせた。

 その日本航空石川のグラウンドを借りて練習した輪島は、初戦で敗れた後、飯田の応援に駆けつけ、「やっさーやっさー!」と祭りのかけ声でエールを送っていた。

 津波で自宅が全壊した選手もいる飯田は14人で臨んで2勝。強豪・金沢との3回戦で先取点を挙げ、結束の強さを感じさせた。門前の塩士暖投手(3年)は避難所での日々で「キャッチボールができることがこんなに幸せだなんて」と感じたという。門前は初の8強入りを果たした。

 門前を破って6年ぶりに4強入りした金沢学院大付は4試合で1失策と堅い守備が光った。

 小松大谷にとって星稜は宿敵だった。10年前には九回裏、8点差から逆転負け。2022年夏は決勝で、23年夏は準決勝で、いずれも1点差で敗れた相手だった。ただ「彼ら(今の選手)には彼らの野球がある」と西野貴裕監督がいうように、地に足の付いた試合運びで石川の頂点に立った。

 敗れた星稜は、昨秋の明治神宮大会を制し、今春の選抜大会は4強入りしたが、日本一をめざした夏が終わった。芦硲(あしさこ)晃太主将(3年)は試合後、「思いを伝えたい」と小松大谷のベンチへと向かった。東野達(いたる)主将(3年)と抱き合い、夢を託した。(小崎瑶太)

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