パリ・オリンピックの競泳男子400メートル個人メドレーで宇都宮市出身の松下知之選手(18)が29日(日本時間)、銀メダルを獲得した。五輪初出場でのメダル獲得に県内の関係者から祝福の声が上がった。松下選手が通ったスウィン宇都宮スイミングスクール(同市横田新町)で、中高6年間指導したスクール長の永松康一さん(58)は「世界の舞台でよく頑張った」と教え子の活躍をたたえた。
松下選手は兄の影響で0歳から同スクールに通い、中学から永松さんが直接指導に当たった。「水を捉えるのが非常にうまかった。なかなか教えてできるものではない。ここぞという時に一気に力を出す爆発力もあった」と当時から実力は光っていた。期待から厳しい練習メニューを課してきたが「いつも、にこにこしながら明るく取り組んでいた」というひたむきな姿勢が才能に磨きを掛けた。
松下選手は今年3月の代表選考会でパリ五輪への切符をつかみ、4月に宇都宮南高から東洋大に進学。スクールを離れてからも永松さんはアドバイスを送っている。いずれは世界の頂点も狙えるという思いから「パリでは最低でもメダルだぞ」と声を掛け続けてきた。
初めての五輪出場を控えた今月26日にメッセージアプリでやり取りした際には、調子の良さを報告してくれていた。最後には「楽しんできます」といういつものように明るい言葉が返ってきた。
レースは、前半は一時7位付近まで順位を下げる展開だったが、300メートルで5位に順位を上げると、ラスト50メートルで2位に躍り出た。テレビ中継を見守った永松さんも終盤に「これはいける」とメダルを確信したという。持ち味の“爆発力”を発揮しての銀メダルだった。
レース後「ひとまずはゆっくり休んでほしい」と教え子の労をねぎらった。一方で「あの子はもっと上を目指せるという確信をさらに強くさせてくれた。悔しさも持ちながら、4年後を目指してほしい」とさらなる飛躍に期待を寄せた。
また、宇都宮市の佐藤栄一市長はX(ツイッター)で「パリ五輪、個人メドレー、松下知之選手(宇都宮市出身)銀メダルおめでとう御座います」、福田富一知事は「本県メダル第一号。後に競技に臨む選手達に勢いを与える結果となりました。夢と感動、元気をありがとう」とコメントした。【池田一生】
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