柔道男子60キロ級3位決定戦で相手を攻める永山竜樹(上)=シャンドマルス・アリーナで2024年7月27日、平川義之撮影

 パリ・オリンピック第2日は27日、柔道男子60キロ級が行われ、初出場の永山竜樹(SBC湘南美容クリニック)が準々決勝で一本負け。敗者復活戦を勝ち上がって、銅メダルを獲得した。

 不可解な判定による準々決勝敗退も「自分の隙(すき)」と受け止めた。五輪王者の夢が絶たれてもなお、必死に心を整えた。「(応援する)両親や妻、息子のためにもこれで帰るわけにはいかないと思った」。周囲への恩を返すことのみを考え、手にした永山竜樹の銅メダルだった。

柔道男子60キロ級準々決勝、一本負けの判定に納得がいかず両手を広げる永山竜樹=シャンドマルス・アリーナで2024年7月27日、平川義之撮影

 サリ・ユルドゥズ(トルコ)との3位決定戦は、開始1分足らずで大腰で技あり。3分過ぎに横車で再び技ありを奪い、一本勝ちした。「(今大会の)最後だったので、思いっきり戦おうと」という言葉通り、攻めの姿勢を貫いて表彰台に立った。

 かつて野村忠宏さんが1996年アトランタから2004年アテネまで五輪3大会連続金メダルを獲得した日本の看板階級。パリ行きを巡っては東海大の3学年先輩で16年リオデジャネイロ五輪銅、21年の東京五輪金の高藤直寿との代表争いを制して、念願の代表の座に就いた。それだけに「(準々決勝の敗戦から)切り替えるのは大変だったし、きつかった」と胸の内をさらす。

 パリ五輪代表選考レースで苦戦していた23年春には、「何かを変えよう」と単身フランスに渡って武者修行を試みてもいる。五輪に思いをはせながら心身をリフレッシュさせた地だが、今回は苦い記憶を残した。「結果を考えても仕方ない。また成長したい」。今はそう割り切るしかなかった。【岩壁峻】

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