体操男子予選2班、鉄棒で着地を失敗した橋本大輝=ベルシー・アリーナで2024年7月27日、玉城達郎撮影

パリ・オリンピック 体操男子予選(27日・ベルシー・アリーナ)

橋本大輝選手(セントラルスポーツ)=85・064点、個人総合3位

 らしくない体操ニッポンのエースの姿だった。体操男子予選で精彩を欠き、個人総合3位だった橋本大輝選手(22)=セントラルスポーツ。演技後の取材で、短期間でどのように立て直すかを問われると、「どうしますか?」と聞き返して、力なく笑った。

 見せ場となる3種目め、鉄棒で致命的な失敗が出た。リューキン、カッシーナと高難度の離れ技を決めていくが、最後の伸身2回宙返り2回ひねりからの着地で、前につんのめるようにバランスを崩した。鉄棒は全体20位、日本勢でも4番目の13・733点。橋本選手の強さの源でもある、美しさを示すEスコアは、7・113点にとどまった。

 5月に右手中指の靱帯(じんたい)を損傷。約3カ月ぶりの実戦が五輪の舞台で「調整がうまくいかなかった」と悔やむ。負荷が高い技を連発して6種目を通す体力も戻りきらず、「すごく疲れて正常な判断ができなかった。気持ちも引きずってしまった。きつかった」。これほど弱音を続ける橋本選手の姿は珍しい。

 再びスポットライトを浴びるはずだったパリ。現実は、思い通りにいかない歯がゆさに何度も天を仰いだ。種目別決勝に進めず、個人総合連覇、団体総合の金メダル奪還に向けても、明るい材料ばかりではない。宿敵の中国はダイナミックかつ精密な、ほぼノーミスの演技で会場を沸かせた。

 「やれることをやるしかない。そんな感じですかね。どうしたらもう一度スイッチ(を入れられるか)、自分が立て直せるかと言われたら、ちょっと難しい」

 期待値が高かった分、落胆も大きい。それでも団体決勝は2日後の29日とすぐに訪れる。そこで笑うためには、橋本選手がいつもの自信と強気を取り戻すことが必要だ。【パリ角田直哉】

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