第106回全国高校野球選手権岐阜大会は27日、長良川球場(岐阜市)で決勝があり、岐阜城北(同)が延長十一回の激闘の末に県岐阜商(同)を6―5で破り、9年ぶり4度目の優勝を果たした。選手権大会は8月7日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。

 (27日、第106回全国高校野球選手権岐阜大会決勝、岐阜城北6―5県岐阜商)

 ◎…決勝にふさわしい熱戦は延長タイブレークにもつれ込み、岐阜城北が手堅い攻めと守備力で県岐阜商を振り切った。

 2点リードされた岐阜城北は五回、河野の安打と犠打、盗塁に敵失がからんで得点。さらに2四球から太田の適時二塁打で試合を振り出しに戻した。九回は2死から5四死球で勝ち越した。

 5―5で迎えた十一回、犠打で1死二、三塁と走者を進め、打席に入ったのは長江。「犠牲フライでもいい。次打者にいい形でつなげたい」。その思いどおり、右犠飛を確実に打ち上げ、これが決勝点となった。

 岐阜城北・秋田監督は「キーマンは中本」、県岐阜商・鍛治舎監督は「堂々と打ち勝ちたい」と語ったこの試合。序盤、主導権を握ったのは県岐阜商だった。

 一回、岐阜城北のエース中本の立ち上がりをそつなく攻めた。日比野の二塁打や犠打、加納の左前適時打で先制し、1死二塁から垣津も中前適時打を放ち加点した。

 しかし、二回以降、中本の直球が走り始め、追加点を奪えない。

 県岐阜商が名門の意地を見せたのは、2―4と追い込まれた九回。2死一塁で代打寺前が「絶対に負けられない」と低めの変化球をはじき返し、左越えの適時三塁打。日比野が中前適時打で続き同点に追いついた。

 延長タイブレークに入り、岐阜城北の守備が光った。

 十回1死二、三塁、県岐阜商は垣津の中前安打で、二塁走者も本塁へ突っ込んだが、中継プレーでタッチアウト。十一回は小鎗の左前安打で二塁走者が本塁を狙った。だが岐阜城北・河野が「絶対に刺す」と左翼から好返球し、生還を許さなかった。(荻野好弘)

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 岐阜城北・秋田和哉監督 選手たちがすごかった。(初回に)2失点したが、食らいついていき、よく守ってしのいだ。県岐阜商は力強く、経験と意地を感じた。守りを中心に、低く強い打球と足を使った野球の精度を上げて甲子園に臨みたい。

 県岐阜商・鍛治舎巧監督 2点差の九回に2死まで追い込まれてから、追いついたのは今まで積み上げてきた努力が結実した結果だと思う。エース森の4失点も想定内だった。九回は疲れが見えたが、相手のエースに負けずに投げきってほしいと思って送り出した。

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 (27日、第106回全国高校野球選手権岐阜大会決勝、岐阜城北6―5県岐阜商)

 決勝の始球式は、岐阜市立常磐小学校5年の後藤杏奈さんがマウンドに上がった。スポーツ少年団では右翼手を務め、背番号は「9」。一礼して投げ込んだ球が捕手のミットに吸い込まれると、球場は大きな拍手に包まれた。

 「一生に一度やれるかやれないか」と始球式に応募し、父親の康男さん(41)と練習を繰り返して臨んだ。

 「お客さんが多いので緊張したけど、上手に投げられた」と話した。

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