息詰まる投手戦を繰り広げた市立船橋の工藤将祐投手

 1点もやれない緊張感が、手元を狂わせたのか-。延長十回一、二塁、自らの前に転がった打球を一塁へ投げた。ボールはそれて、その間に二塁走者が生還した。  衝撃的なサヨナラ負けに「焦りが出てミスをした。今までこういう練習はしつこくやっていたのに…。みんなに謝りたい」。膝から崩れ落ち、涙も止まらなかった。  春の県大会の2回戦敗退から、チームで徹底的にプレーの精度を高めてきた。ミスをポイント化して、主力でも試合から外されることもあった。内野ノックではミスしたごとに、全員で塁間を全力ダッシュ…。そうした決まりを設けて意識を高め、夏を迎えた。  だが、この試合は九回の守備で失策を連発。自らの投球でピンチを脱したが、延長十回の勝ち越し点は守備妨害と判定されて幻に。チームの15分間もの抗議も実らず、「正直、それで苦しく感じてしまった」。悪い流れは最後まで断ち切れなかった。  県内屈指の投手としてノーシードからの躍進を力強く支えた。「全力を出しても甲子園に届かなかったのが悔しい」と無念の思いを口にした。(平野梓)


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