(27日、第106回全国高校野球選手権大分大会決勝 明豊12―6大分舞鶴) 

 九回裏、明豊のエース野田皇志投手(3年)が両ひざに手を当ててうなだれた。8点リードで上がったマウンド。だが、無死満塁から今大会で自身初めての押し出しを許した。「打たせて取ろうとしたが、打ってくれなかった」

 その前の回、川崎絢平監督から交代を告げられていたが、「最後まで投げさせて下さい」と断った。「エースナンバーを背負っている。投げ切らないと示しがつかない」

 今大会、登板した3試合を無失点で抑えていた。そして、チームは常にリードを保って勝ち上がってきた。

 決勝は違った。二回表に先制したものの、直後に大分舞鶴から逆転の安打を浴びて焦りが出た。明豊が初めて追う展開。ベンチから伝令の山内真南斗(まなと)主将が走り、マウンドに集まった守備陣を落ち着かせた。「仲間が点を取ってくれる」。焦りは消えていた。

 六回に大量得点を挙げた明豊。野田投手は安打を許しながらも安定した投球を続けていた。そして迎えた九回裏のピンチだったが、押し出しの後は内野ゴロで締め、スタンドの大歓声の中で仲間と指を突き上げた。

 次は甲子園だ。昨夏は初戦の北海(南北海道)との延長十回タイブレークで登板したが、サヨナラ安打を打たれて敗れた。「甲子園で勝負するのがチームの目標。日本一を目指す」と語った。(大村久)

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