(27日、第106回全国高校野球選手権大分大会決勝 明豊12―6大分舞鶴)
「やってきたことは絶対に間違いない」。大分舞鶴の若杉悠諒(ひさあき)主将はそう信じて、九回裏の打席に入った。この試合、明豊のエースから安打を打てていなかった。バットを強く握り直した。
明豊は因縁の相手だった。2021年と22年に夏の甲子園初出場をかけて決勝で戦ったが、いずれも敗れていた。今回3度目の挑戦。2年生の秋田康介投手らは、3年生中心の分析班が導き出した「明豊打線の外角低めを攻めよ」との作戦を基に全力投球していた。
しかし、六回表の猛攻を受けて引き離された。だが、若杉主将は笑顔を絶やさない。ピンチには大きなジェスチャーで声を出し続けた。「主将としてチームの雰囲気をつくるのが役割だから」
最後の打席、思いを込めた一振りは内野ゴロに。頭から滑り込んだ一塁ベースに突っ伏したまま、球場に響く明豊の大歓声を聞いた。悔し涙が一気にこぼれた。
「2年生は悔しさを忘れず、何とか甲子園に出られるよう頑張ってほしい」。大分舞鶴の悲願と主将の思いは後輩たちに託された。(神崎卓征)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。