(27日、第106回全国高校野球選手権福井大会決勝 敦賀気比1―4北陸)
北陸打線は六回まで1安打。「我慢やぞ」「絶対、チャンス来るぞ」と声を掛け合った。
七回裏、梅田悠希一塁手(3年)の右前安打でようやく先頭が出塁した。
続く捕手の小矢宙歌(そらた)主将(同)は4番だが、1回戦からこの日の前の打席まで打率は1割に届かず、13打数1安打3四球、犠打1と不振だった。林孝臣監督は犠打のサイン。1球目のストライクを見逃し、2球目は犠打を狙うもファウルで失敗し、追い込まれた。しかし今大会これまで三振はゼロ。林監督は信頼してサインを強攻に切り替えた。
小矢主将はボールを見極め、ファウルで粘り、14球目に四球を選んでつないだ。その後、仲間の3連打で一気に4点を奪った。林監督は「犠打を決めてほしかったが、あれだけ粘って、狙っていたワンチャンスを作ってくれたから良しとする」といい、「今日は捕手として頑張ってくれた」とほめた。
北陸は1回戦から準決勝まで右腕の井黒晃佑投手(同)が先発。切れのあるカーブや内角への速球でイニング数より多い三振を奪い、流れをつかんできた。この日も井黒投手が先発だったが、強打の敦賀気比打線を相手に、小矢主将はあえて三振を狙う配球をせず、「カットボールと直球の組み合わせで打たせてとること」を徹底した。
六回から継投したエース右腕・竹田海士投手(同)は、いつもより緊張していたため、「難しく考えずストライク先行で」と方針を決め、切れが良かったフォークボールをどんどん要求した。
小矢主将は「投手力はある。自分が成長すれば甲子園が近づく、と監督に言われて頑張ってきた。少しは成長できたかな」と笑った。
吹っ切れたように、八回2死から「会心の当たり」の右前安打を放ち、塁上でガッツポーズをして満面の笑みを見せた。(鎌内勇樹)
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