第106回全国高校野球選手権群馬大会は26日は準決勝があった。前日に雷雨のため大会史上初の継続試合となった前橋商―樹徳は、五回裏の樹徳の攻撃から再開。前橋商が最終回の大量点で樹徳を突き放し、2年連続の決勝進出を決めた。決勝は27日午前10時から、上毛新聞敷島球場で健大高崎と前橋商が対戦する。

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(26日、第106回全国高校野球選手権群馬大会準決勝 前橋商8-4樹徳)

 「オレたちの代」

 最後の夏、3年生はみな最上級生となった自分のチームをそう呼ぶ。

 一方、2年生で背番号をつける選手たちは、夢を追いかける先輩たちを必死に支えようとする。

 健大高崎の控え投手で、2回戦で大会新の10連続奪三振を記録した下重賢慎(2年)の帽子のつばには、こう書いてある。「3年生のために」

 樹徳の左翼手・阿久津真吾(2年)も、先輩のために戦い続けていた。

 親子3人、樹徳の球児。父博信さん(51)は樹徳が甲子園初出場を果たした1991年の第73回大会のメンバーだ。三つ上の兄佑太さんも甲子園に出場した一昨年夏の主将。「親子で甲子園」は兄が果たした。阿久津は「兄弟で甲子園」という夢を描き、父と兄を追いかけて樹徳に入学した。

 もちろん、甲子園は先輩の夢であり、自分の夢でもあるのだが、阿久津はこの夏、「自分のために」ではなく、「先輩のために」甲子園を追いかけていた。

 手のひらに乗っていたその夢は逃げていった。1点リードの九回。一瞬で大量5点を失った。その裏、無死一、二塁で阿久津に打席が回った。だが、3球三振に倒れた。

 試合前の早朝練習。ベンチに入れない先輩たちが打撃投手を務めてくれていた。「先輩たちの夢が……」と涙し続けた。

 ベンチ裏で背を丸めてうなだれる選手たちを井達誠監督が叱った。「胸を張れ」。阿久津は顔を上げ、口元を引き締めた。その表情は、もう敗者のそれではなかった。

 2年生にとって夏の敗戦は、来年へのスタートでもある。兄弟で甲子園という「自分の夢」を追いかける番だ。

 いま、始まった。

 「オレたちの代」が。(抜井規泰)

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健大高崎の今大会の戦績

準決勝 9―8前橋育英(延長10回タイブレーク)

準々決勝 19―3高崎経済大付(7回コールド)

3回戦 6―5桐生第一(延長11回タイブレーク)

2回戦 18―1藤岡北(5回コールド)

前橋商の今大会の戦績

準決勝 8―4樹徳

準々決勝 6―3前橋東

3回戦 10―0常磐(5回コールド)

2回戦 7―0市太田(7回コールド)

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