2021年3月、パリ五輪陸上女子5000m代表の樺沢和佳奈は地元群馬県の太田市で東京五輪の聖火のトーチを持って走っていた。それから3年。夢舞台の切符を手に決戦の地に到着し「来る途中でもいろいろと思い返して感慨深かった。諦めずに続けてきて本当に良かった」と喜びをかみしめた。

 慶大卒業間近だった当時、東京五輪は遠い目標で、母に後押しされて聖火ランナーに応募。忘れられない悔しさを味わった。「『めちゃくちゃゆっくりめに走って』と言われて。何で私はこんなにゆっくり走っているんだろう」。「選手で五輪に出たかった。ふがいない」との思いがこみ上げた。

 資生堂入社後も成績は振るわず引退を考えたが「腹をくくって」決断した昨春の移籍が転機に。指導者との積極的な対話を心がけ「精神面での成長が大きかった」と走りの安定感が増した。

 6月の日本選手権こそ9位に終わったが、計画的に世界ランキングのポイントを積み上げたことで、繰り上がりで吉報が舞い込んだ。目標は決勝進出。「3年前の悔しさがあるから今がある。その思いを爆発させる」。(共同)

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