(24日、第106回全国高校野球選手権宮崎大会準決勝 宮崎商4―1日南学園)
「厳しい練習も、仲間への声かけも、一番やってきたはず。だから最終的に勝っているのは自分たちだ」
3点を追う九回の攻撃前。日南学園の馬乗園康介主将(3年)はベンチ前の円陣で、仲間の気持ちを確認した。「勝つという気持ちを全員が持っていた。諦めた者は一人もいなかった」。最後まで仲間を鼓舞したが、点差は縮まらなかった。
負けられない理由があった。大会直前の4日、背番号が発表されベンチに入れないことが決まった同級生たちが、翌日も一足早く来て、練習の準備やサポートをしてくれた。「自分が主将なのに、いつも支えられてきた」
この日も三塁側スタンドから、大声を張り上げる同級生の応援が聞こえた。だから「どこより大きな力を出せるはずだ」。打席に入れば時折白い歯も見せるにこやかな表情で、この日は二塁打を含め2安打。「最高の仲間と野球をやるのが楽しくて、何も考えずに食らいついた」
最後の夏は4強。昨夏も4強だった。「勝てなかったのは、『何か』が足りなかったから」
進学して野球を続け、その「何か」を探すつもりだ。あふれる涙を拭いた後の顔を上げ、こう言った。「いまはまだ、見つからないけど、大きくなるために」(奥正光)
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