【沖縄電力-トヨタ自動車】九回裏トヨタ自動車1死一塁の場面に代打で登場した熊田任洋(右)と、アドバイスを送る藤原航平監督=東京ドームで2024年7月19日、新宮巳美撮影

 昨年の王者で第95回都市対抗野球大会で連覇を狙うトヨタ自動車(愛知県豊田市)に、走攻守三拍子そろった頼もしい新人が入ってきた。

 愛知・東邦高でセンバツ優勝を経験、早稲田大では副主将と野球のエリート街道を歩んできた熊田任洋選手(23)だ。藤原航平監督は「チームに勢いをもたらすプレーを期待している」と話す。

 岐阜県出身。東邦高では1年秋から遊撃手として活躍した。どんな投手でも対応できるミート力が持ち味で、3年春のセンバツでは19打数8安打と大暴れした。佐々木朗希(ロッテ)らとともにU18代表にも選出された。

 早稲田大からプロ入りを目指したが、2023年ドラフトで名前が呼ばれることはなかった。3位以上でなければプロ入りしないという「3位縛り」を自らに課していた。

 「プロに入るだけではなく、1軍で活躍することが目標だった。3位以内で指名されなければ、実力が伴っていないと思っていた」と理由を明かす。

 トヨタを選んだのは「真っ先に声をかけてくれていた」からだ。入社後は大学時代に守っていた遊撃手だけでなく、三塁手、二塁手にも挑戦している。

 自慢の打撃もスイングスピードが入社時の105キロから117キロにアップし、さらに磨きがかかる。藤原監督は「新人離れしていて度胸がある。打席に入っても相手投手に惑わされず自分のスイングができている」と太鼓判を押す。

 本大会が開幕した19日、沖縄電力(浦添市)との初戦では、0―0で迎えた九回裏1死一塁の場面に代打で登場。「準備していたのでびっくりすることもなく落ち着いて打席に入れた」と冷静に四球を選び、チームのサヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 「初の都市対抗はいい経験になった。次戦もしっかり準備して臨みたい」。期待にたがわぬ新人は、25日の三菱重工West(神戸市・高砂市)戦でも何かをやってくれそうだ。【塚本紘平、早川健人】

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