(23日、第106回全国高校野球選手権東東京大会準々決勝 東亜学園5―8二松学舎大付)

 あこがれの舞台に、もう一度連れて行って欲しい――。激しい暑さとなった神宮球場での東亜学園との準々決勝。二松学舎大付の吹奏楽部の浜名美緒さん(3年)は、願いを音にのせて伸びやかなクラリネットの音を響かせた。

 野球部員と吹奏楽部員の恋を描いた映画「青空エール」を見て、甲子園での演奏にあこがれた。セーラー服も着たくて、二松学舎大付に入学した。

 浜名さん入学後の2022年夏と、23年春に二松学舎大付は甲子園に出場。浜名さんもアルプススタンドで演奏し、願いがかなった。「スタンドがとっても広くて、テレビで見る風景そのままで。本当に本当に感動しました」

 またあの舞台に戻れるよう、吹奏楽部は今大会、演奏で野球部を支えてきた。選手1人ずつに希望の応援曲を聞き、「エルクンバンチェロ」や「We Will Rock You」など30曲近くを準備。試合前のノックの7分間ぴったりに終わるよう、演奏曲を組み合わせ、選手が替わるたびに球場に明るい音色を響かせた。

 浜名さんは8月にある吹奏楽コンクールに出場しないと決めている。野球部が負ければ、一緒に引退となる。

 チームはこの日も勝ち、甲子園まであと2勝になった。「一戦でも多く勝ってもらって、できるだけ長く演奏したい。そのためにも、選手に届くよう大きな音で演奏します」と爽やかな笑顔を見せた。=神宮(石川瀬里)

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