(23日、第106回全国高校野球選手権宮城大会決勝 聖和学園8-5仙台育英)
一回表、先頭で打席に立った聖和学園の三浦広大主将(3年)が真価を見せたのは、3球で1ボール2ストライクと追い込まれてからだった。
マウンドには最速151キロの直球が武器の仙台育英のエース山口廉王(れお)選手(3年)。4球目はボールを選び、その後、6連続のファウル。結局、二ゴロに倒れたが、計11球を投げさせた。
「意外と真っすぐは対応できる。甘く入ったらしっかり打とう」。そう後続に伝えると、打線は4長短打で続き、1点を先制した。
「あの打席がチームに勇気を与えた」と八島知晴監督は言う。1点を勝ち越された後の三回表も先頭で打席に立ち、内野安打で出塁。この回3点を追加し、山口選手をマウンドから降ろした。
三浦主将は2年前の宮城大会決勝に1年生で唯一出場し、仙台育英に1―3で敗れた。「あと一つのところで勝ちきれなかった自分たちの弱さを痛感した。2年間ずっと苦しい思いをしてきた」と三浦主将。「もう銀はいらないぞ」。当時の先輩からはそんな言葉もかけられた。
チームのテーマは「執念」。2点差以内の接戦を勝ち上がって迎えた決勝は「攻め続けることを徹底した」。チームで19の安打を重ね、最後まで粘りきってリベンジを果たした。
「やっと、報われた」。試合後、三浦主将の目には涙が浮かんだ。
これまで戦ってきた相手に「頑張れ」と言われてきたことを思い出した。そして、仙台育英の湯浅桜翼主将(3年)らからは「甲子園はすごい相手がたくさんいるから楽しめ」とも声をかけられたという。
春夏通じて初の甲子園出場。「これまで戦った相手の思い、宮城県全員の思いを背負って戦っていきたい」(中島嘉克)
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