(23日、第106回全国高校野球選手権千葉大会準々決勝、東京学館4―1志学館)

 七回表。マウンドから降りて二塁手の位置についたエースに、中堅手が声をかけた。「まだ試合終わってないよ」。双子の弟からのげきに、あきらめない気持ちを持ち続けることができた。

 志学館のエース・中山煌太(3年)と中堅手の瑛太(3年)は双子だ。

 煌太が兄で、瑛太が弟。普段はささいなことでケンカもする普通の兄弟だが、野球では最高のライバルであり、一番の理解者。互いに刺激し合い、支え合ってきた。

 「投手として相手の得点を許してしまった。ここで絶対に取り返す」。2点を先制されたあとの一回裏2死一、二塁で、兄が打席に入った。2球目の内角低めを振り抜き、二塁走者の堀雄一朗(3年)を生還させた。

 弟も奮闘。二回裏、死球を受けひざを負傷し、支えられながらベンチへ戻った。「大丈夫、大丈夫」と心配をかけないよう周りを気遣う。「みんなと一緒にプレーしたい」と強く思い、痛みは気にならなかった。「煌太が打ったから俺も出ないと」。三回表からすぐ守備に復帰した。

 志学館卒業生である父の影響で一緒に始めた野球。兄は弟に、他の仲間より強く言ってしまうこともある。それでも自分の調子がおかしいときは弟の助言がありがたい。この試合、降板時の声かけも、おかげで気持ちをぶらさずに最後まで戦うことができた。

 2人は同じことを思っている。「このチームで野球ができてよかった」=県(芹沢みなほ)

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