第106回全国高校野球選手権秋田大会(朝日新聞社、県高校野球連盟主催)は、金足農の優勝で21日に幕を閉じた。序盤はぐずついた天気も決勝は夏空。2年続けて決勝で涙をのんだ秋田商など、全力をつくしたチームに多くの拍手が送られた。

 連覇を狙った第1シードの明桜の初戦敗退は前半戦のトピックだった。金足農と接戦になり、タイブレークの延長十回に犠飛で勝ち越された。

 ノーシードの金足農はこの白星で波に乗った。エース吉田大輝投手(2年)は準決勝は登板せず、4試合で完投して2完封。決勝では秋田商に16安打を浴びせられたが、やはり投手の軸がしっかり立ったチームには安定感があった。

 その秋田商。今夏は特に打線がよく、チーム打率は3割6分1厘。得点や安打数などとともにトータルで金足農を上回った。準決勝、決勝で見せた不屈の戦いぶりは伝統校の底力だった。

 秋田南は3回戦の秋田中央戦の粘りが見事。秋田工も軟投派のエース檜森康佑投手(3年)を軸に9年ぶりに4強に入った。1回戦からだった横手は夏に成長し、シード校の横手清陵を破ってベスト8。新屋の準々決勝終盤の追い上げも印象に残った。

 大会中の本塁打数は4本にとどまり、うち2本がランニングだった。

 今大会は38チーム(43校)が参加。昨夏は40チーム(44校)だった。登録部員数も1476人から1423人に減った。そんな中での六校連合(男鹿海洋・仁賀保・西仙北・大曲農太田・雄物川・羽後)の善戦は、部員不足に悩むチームの光となったかもしれない。(隈部康弘)

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 秋田県の佐竹敬久知事は22日の定例記者会見の冒頭、全国高校野球選手権秋田大会の21日の試合に触れ、「非常に熱戦で、私も手に汗握って見た。決勝戦にふさわしい大変熱のこもった決勝で感激した」「両チームには、県民に希望と若い力を見せてくれたことに対して感謝したい」などと語った。

 佐竹知事は秋田商の粘り強いプレーをたたえたうえで、「(金足農が準優勝した)6年前の甲子園の熱気が分かっているので、県民も楽しみにして甲子園(での試合)を待つと思う。健闘を願っている」と述べた。

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