（22日、第106回全国高校野球選手権兵庫大会5回戦 須磨翔風0―2滝川二）
三回1死。須磨翔風のエース槙野遥斗投手（3年）は、滝川二の9番打者、田上空芽（くうが）投手（3年）から三塁打を浴びた。甘い直球を狙われた。
「絶対に先制点は取られたくない」。だが続く1番打者に、最も自信のあるスライダーを中前安打にされ、ノーシードから勝ち上がってきた滝川二に先制を許した。
「まだ同点に追いついてくれるはず」。気持ちを切り替えた。
兄が須磨翔風の野球部にいた影響で入学し、2年春からエースに。昨秋の県大会は1人で投げ抜いて準優勝。昨秋の近畿大会で8強入りしたが、選抜大会には選ばれなかった。
悔しさをバネに、球速を143キロまで伸ばし、プロのスカウトに注目される投手に成長した。今春の近畿大会で4強入りし、チームは夏の兵庫大会では優勝候補の一角と言われてきた。
2点をリードされて迎えた九回。「逆転できる」。そう信じたが、滝川二の2投手の速球とスライダーに最後まで翻弄（ほんろう）され、チームは4安打で零封された。
「体力的には、まだまだ投げられる。甲子園に行くことしか考えていなかったので悔しいです」
試合後、涙は見せなかった。「3年間ですごく成長できて、須磨翔風で野球をしてきて良かったです。今後の進路については監督と話し合って決めます。将来はプロ野球で活躍できるような投手になりたい」と誓った。
中尾修監督は「（槙野投手は）よく粘って投げてくれた。今後については、一緒にじっくりと考えたい。3年間で努力をして、順調に成長してくれました」とねぎらった。（森直由）
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