（22日、第106回全国高校野球選手権佐賀大会準決勝 佐賀工0―5鳥栖工）

　佐賀工の江頭伸兼投手（3年）の出番はいつもより早かった。これまでは先発の背番号10、岸川将也投手（3年）が中盤まで粘って引き継ぐパターンだったが、岸川投手が二回に制球を乱し3失点。古川雄一郎監督から「エースのお前がやってこい」と三回からマウンドへ送り出された。

　制球力がある岸川投手に対し、力で押す江頭投手は「応援してくれる人やベンチの仲間の気持ちを背負い、魂込めて投げました」。がむしゃらに腕を振った。

　特に相手エースの松延響投手（2年）には対抗心を前面に出した。対戦を前に「お互いストレートで勝負しよう」とダイレクトメッセージを送ったという。三回は空振りの三振、五回はファウルで5球粘られたが一ゴロ、七回も遊ゴロと3度の対戦を真っ向勝負で打ちとった。「松延君に球速（最速145キロ）では対抗できないが、キレには自信がある。1球、1球、手を抜かず全力で投げた」。120キロ台の速球には気持ちが入っていた。6回を投げ2失点したが、自責点はなかった。

　タイプが違う2投手が佐賀工の7年ぶりの4強入りの原動力になった。江頭投手は「ライバルみたいな関係で、お互いにリスペクトし合い、ここまで投げ切れてよかった」と岸川投手を思い、「負けたことに悔いはあるが、ピッチングには悔いがない」と言い切った。（森田博志）

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