本大会でも活躍が期待される東海理化の池田大将投手=愛知・岡崎レッドダイヤモンドスタジアムで2024年6月13日、兵藤公治撮影

 第95回都市対抗野球大会に2年連続で出場する東海理化(愛知県豊川市)には「謙虚なエース」がいる。

 チームは昨年、12年ぶりの本大会で初の8強入りを果たした。その立役者となったのが「自分はまだエースではない」と言う池田大将(だいすけ)投手(28)だ。

 順風満帆な野球人生ではなかった。千葉県白井市出身。小学5年から野球を始め、投手として日体大柏高に進んだが、2年まではほとんどベンチ外。3年からは2番手投手だった。

 拓殖大では2年春からマウンドに立つようになったが、いわゆる「敗戦処理」。3年以降はもう1人の投手と競い、2枚看板と形容されたが、本人いわく「絶対的なエースとは程遠かった」。

 東海理化でも3年間は目立った成績は残せなかった。「自分より年齢が下の選手が増え、このままでは(野球人生が)終わってしまう」と怖くなった。

 転機はフォーム改造。力いっぱい腕を振っていた投法から、力を抜き、しならせるような投法にした。チームメートからは「球が速く見える」と言われ、打者が差し込まれる場面が増えた。5年目の2022年の秋から先発に転向し、結果もついてくるようになった。

 昨年の都市対抗では東海地区2次予選5試合に先発し、36回3分の2を失点9、防御率1・72と活躍。本大会でも2試合に先発し、チームを8強に導いた。今年の東海地区2次予選では本大会出場権最後の1枠をかけた試合で1失点完投し、第6代表を勝ち取った。

 「3年以上活躍できてこそエースだと思っている」。本人の強いこだわりだ。そして今年が先発転向3年目の勝負の年でもある。

 22日の初戦は歴代最多12回の優勝を誇るENEOS(横浜市)戦。「ENEOSに勝って、会社や豊川市を明るくしたい」。自他共に認める正真正銘のエースになるため、今大会も大暴れするつもりだ。【塚本紘平】

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