(20日、第106回全国高校野球選手権千葉大会5回戦、東京学館11―7成田)
一回表1死満塁の好機。東京学館の背番号「12」、千葉ケン志朗(3年)は、3球目の内角に甘く入った変化球を振り抜き、左翼席にたたき込んだ。打った後、ヘルメットを脱ぎ捨て一塁に全力疾走。本塁打と分かると足を緩め、大喜びした。
三塁を蹴った後、そっと目を閉じ、両手を広げて天を仰いだ。
5月。高校1年からの担任の先生ががんで亡くなった。「クラスや部活、学校、社会で大事なことを教えてくれて、本当にお世話になった」
千葉は1年のころから試合に出ていたが、思うような結果が出せず苦しんでいた。今春も木更津総合に負けて調子を崩し、最後の夏は2桁背番号になっていた。低反発バットになってから本塁打も打てていなかった。それでも、先生は亡くなる前に卒業生を通じて、「強豪に勝つのに必要なのはお前の力だ」と言ってくれた。最後まで千葉の力を信じてくれた。
「自分を変えてくれた先生に成長した姿が届いてほしい」。走者一掃の満塁本塁打を放ち、ダイヤモンドを一周し終わるとき、そう願った。
ただ、まだ通過点。「甲子園で、仲間と団結して頑張ってきた姿を先生に届けたい」=県(杉江隼)
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