(20日、第106回全国高校野球選手権石川大会3回戦 小松商12―5石川高専)
夏の石川大会での初のベスト8を逃した石川高専は、1番の田村俊策選手(2年)が1安打を含む4出塁と打線を引っ張った。打ち気にはやらず、じっくりとボールを見極める抜群の選球眼で1、2回戦と合わせて15打席で10出塁(4安打6四球)と出塁率で際立った。
「8強の壁は高かった」と言いつつ、「気持ちを出しすぎず、冷静に行こうと思った」と振り返った。
石川県内ではちょっとした有名人だ。
野球を始めてまもない小学2年のころ、所属していた小松市のチームを通じ、地元の自動車販売店のローカルCMの出演オファーが届いた。幼い田村選手がチームメートとじゃれ合うほっこりした内容で、いまも放映が続く。
少年は成長し、甲子園をめざす舞台で躍動した。田村選手によると今もCMの知名度は抜群で、声を掛けられることがある。「CMに出た経験がどんな場面でも自分のプレーに集中できるメンタルにつながったのかも」と話した。
父の淳さん(48)は「高校に入って寮生活にもなり、本当に成長した」という。この日、田村選手とともに投打でチームに貢献した大西巧巳選手(3年)も「ムードメーカーでリラックスさせてくれる」と話す。
北田耕司監督は「本当はどんどんバットを振っていきたいタイプ。でも、1番打者の役割をわかってくれた。彼の選球眼のおかげで相手の投球を仲間もたくさん見ることができた」。
来年はいよいよ最後の夏。「来年こそはベスト8の壁を越える」。そう誓うと、涙をぬぐった。(土井良典)
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