宇良(右)を突き出しで降す豊昇龍=名古屋市中区のドルフィンズアリーナで2024年7月19日、兵藤公治撮影

大相撲名古屋場所(19日、愛知・ドルフィンズアリーナ)

○豊昇龍(突き出し)宇良●

 今世紀初の異例の事態である。序盤戦を終えたばかりの6日目で、首位が後続に2差をつけるのは1998年春場所以来だ。照ノ富士が6連勝とする一方、1敗もいなくなった中、豊昇龍が取り直しの末に星を拾って2敗に踏みとどまった。

 最初の相撲の内容は完敗だった。小兵で動きのある宇良に対し、豊昇龍は「何でもやってくるので、ちょっと見ようと思ったら一気に攻められた」。懐に入られて一気に走られた。倒れ込みながら相手を右に振ったが、軍配は宇良に上がった。だが、同体ではないかと物言いがついて取り直しになった。

 ここで豊昇龍は「なんでもいいから思い切っていこう」と臨んだのが良かった。受け身だった自らを反省し、立ち合いから自ら踏み込んで突いて出て、最後は宇良を土俵下まで吹っ飛ばした。

 初日に総崩れになるなど、早くも大関陣は2敗以下に後退している。ただ、豊昇龍にとって名古屋は昨年、関脇で12勝を挙げて初優勝し、大関昇進を決めた験のいい場所だ。ただ、その後は11勝が最高で、大関としては物足りなさも残る。

 今年の名古屋は既に千秋楽まで入場券は完売だ。そんな盛況の場所で、大関がこの日のような迷いのない攻めで白星を重ねれば土俵は面白くなってくる。【荻野公一】

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