(19日、第106回全国高校野球選手権鳥取大会準々決勝 鳥取城北10―1八頭)

 一塁からひっきりなしに声が飛ぶ。「一つ一つ行こう」「バントあるよバント」「おっしゃあ!」

 三上成惺(なるせ)主将(3年)の声がマウンド周辺に響く。投手がストライクを取るたび、ピンチになるたび、何かしらの声が飛んだ。鳥取城北の応援団の大音量を吹き飛ばすかのように。

 主将になり、チームの声の小ささが気になった。「自分が引っ張り、見本になるつもりで声を出し続けました」

 試合は苦しい展開となった。一回、守備の乱れもあり3失点。その後も攻め込まれ点差が広がっていった。八回には自らマウンドに上がったが、さらに3点を失った。それでも、ベンチに下がっても声を絶やさなかった。

 試合後、球場外で涙が止まらない仲間たちと整列し、きぜんとした表情であいさつをした。「応援ありがとうございました」。拍手が起こった。

 そして取材に、主将として「視野を広くもち、選手の様子を見極める仕事ができた。主将をやって良かったです」と、きっぱり言い切った。(奥平真也)

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