(17日、第106回全国高校野球選手権西東京大会4回戦 八王子北5―4錦城)
錦城を接戦で下し、4回戦を突破した八王子北の主将、三瓶亮太(3年)には心の支えとなっている友人がいる。伊豆諸島の大島高校の投手、清水怜央(3年)だ。大島でたった一人の野球部員が、みんなでやる野球の楽しさを教えてくれた。
清水は昨夏、顧問のつてで、大島から八王子北にやってきた。部員が1人だけで、思うように練習ができないというのが理由だった。
八王子北で、清水はどんな時もとても楽しそうに野球をしていた。一緒に過ごしたのは2週間ほどだったが、三瓶はその姿に刺激を受けた。そして、その後、壁にぶつかったとき、何度も清水のことを思い出した。
新チームで迎えた冬、主将として問われる場面が多くなった。練習で力を抜いたり、忘れ物をしたりする選手に注意しても全然伝わらない。イライラして、チームはどんどんマイナスな方向へ。野球が楽しくなくなり、「キャプテンを辞めたい」とまで思った。
でも、そんなとき、清水と撮った写真をみると、初心に返れた。「ここで足踏みしている場合じゃない」。チームを変えるために、まず自分から変わってみようと思った。
できないことを責めるのではなく、相手に寄り添う。ひとりひとりに丁寧に接するようにすると、次第にチームは変わっていった。
一方、清水も大島で悩んでいた。今春、後輩が入ってきて、どう接すればいいのか分からなかった。そんなとき、チームをまとめようと模索していた三瓶の姿を思った。
東東京大会、西東京大会と分かれて臨んだ今夏の大会。連合チームで出場した大島は初戦、清水が力投したが敗れた。一方、八王子北は2、3回戦を突破し、17日、4回戦も勝った。三瓶は「チームに一体感がある」と手応えを口にする。次戦の相手は、第一シードの東海大菅生だ。
三瓶は清水にこうメッセージを送るつもりだ。「次も頑張るから応援して」。それから、恥ずかしいけれどいつかはこんな風に伝えたい。「清水のおかげで、頑張ってこられたよ」=S&D昭島(西田有里)
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