(17日、第106回全国高校野球選手権岡山大会2回戦 玉島商2―4倉敷商)

 「投げたいです」。3点を追う六回表、代打が準備するのを見た玉島商先発の永富春(あずま)(3年)は、須田考一部長にそう伝えた。須田部長は体調不良の行成貴由監督に代わり、急きょ監督を務めていた。最後の夏、エースとしてマウンドを譲りたくなかった。

 初戦の東岡山工戦では2失点で完投勝利。この日の相手は、春の岡山県大会を制し、中国大会でも準優勝した強豪倉敷商。甘い球を見逃さない相手打線の圧力に、持ち味の右横手投げからコーナーをつく投球がうまくいかない。一回に押し出し四球で1失点。四回には、気持ちの焦りからコントロールが定まらず2点を失った。それでも、信頼する野手陣が好守でもり立ててくれ、11安打を許しながらも4失点に食い止めた。

 「行成先生ともう1回試合を」と仲間と誓ったが、かなわなかった。それでも、「自分なりに頑張れた」。2試合で274球を投げ抜いたエースは前を向いた。(勝亦邦夫)

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